平成29年度                                                            舞岡公園の植物へ
8月2日(水)
ケヤキ広場 カワヅザクラの冬芽 ミズキの冬芽 オオシマザクラの冬芽 下草

トボシガラ?: 葉舌 トボシガラ?:小穂のつき方 トボシガラ?

8月2日(水)

 今日も夏の日照りが続く。家にいると、ついクーラーを使いたくなってしまう。週末から来週にかけて、選挙、お祭りがあり、忙しくなるので、今日は舞岡公園へ行くチャンスと思えたので出かけた。

 地下鉄の駅を出てバス停に着くと、バスは出たばかりだった。分ぐらい炎天下でバスを待った。バスは冷房が効いており、寒いくらいである。

ケヤキ広場へ入ると、人は誰もいない。これだけ暑いのだから、多くの人は外出をためらっているのかも知れない。大きなケヤキの下へ入ると、直射日光が防げる。公園へ入ると、樹と土があるので、同じ暑さでも感じ方が違ってくる。今日は、久しぶりにエノキ休憩所へ行き、カワヅザクラの冬芽から見ることにした。

 カワヅザクラを見ると、枝が大きく垂れ下っている。簡単に手が届いたので、冬芽が見やすかった。冬芽は小さい。大きさを計測すると、長さが5㎜、幅が2㎜であった。小さいので、肉眼では詳細が分かり難い。写真を撮り拡大してみると、枝の先端には2個、その下からは葉腋に1個ずつ冬芽が出来ている。未だ痩せていて、細く、先端が尖っている。芽鱗に毛がないので、境がはっきりし、綺麗に見える。

 ここの広場には数本の大きなミズキの樹がある。冬芽が見えるか覗いた。冬場に見るミズキの冬芽は赤みがあり、綺麗に映えている。今頃はどうなっているだろうか。枝の先端には葉が集中しているので、冬芽が見難くかったが、葉をかき分けると、丸みのある緑色の冬芽が見えてきた。先端が僅かに褐色を帯びている。長さが㎜、幅が5㎜あった。現在では、カワズザクラの冬芽より僅かに大きかった。

 此処には、オオシマザクラの樹もある。この冬芽は、自宅近くでも既に見ている。芽鱗には毛がなく綺麗である。カワヅザクラに似て、先端に複数、それから下には1個ずつ付いている。2つを比べると、形はほぼ同じようだが、オオシマザクラの冬芽の方が幾分艶があり、先端が鋭く見える。

 目を下へ移すと、下草が広がっている。その下草を見ると、枯れた線状の穂が一段高く、靡ているのが目立つ。これは一体何だろうか。一寸前ならカモジグサの枯れた形に似ているのだが、今は、カモジグサはない。また、此方はカモジグサより線状になっている。何か手掛かりはないだろうかと、付近を眺めった。するとその候補が見つかった。日陰の中に、枯れる前のものと思わるものが見つかった。

 見ると、どこかで見た覚えがある。これを見つけた時、名前がよく分からなかった。一応、トボシガラの名前と付けたが、未だに自信がない。葉舌付近を見ると、葉舌の先端は平らで、周りには少し毛があるようだ。

 小穂は、2>つずつ分かれてつき、分かれない方は柄がなく、分かれた方には柄がある。柄はざらつく。

撮影:6月27日
  記  平成29年6月28日(水)
8月3日(木)
エノキの冬芽 ヤマハギ クヌギの果実 クヌギの果実 アカシデの冬芽

キブシの新しい花序 コヤブタバコ コヤブタバコ

8月3日(木)

エノキ休憩所にはその名の通りエノキの樹がある。エノキの冬芽は小さく、何時見ても詳細が分かり難い。夏場に冬芽を見るのは初めてで、どんな様子をしているか楽しみにしていた。見るとやはり小さい。大きさを計測するにも測りようがないほど小さい。長さ、幅とも1㎜~2㎜程である。冬芽は葉腋に1つ付いている。暗褐色の毛に覆われた芽鱗に包まれている様子が確認できる。

 おおばなの丘からケヤキ広場へ来て、何時ものようにヤマハギとクヌギを見た。ヤマハギは秋の花と思っていたが、既に、花期の峠は過ぎたように見える。花序を見ると、綺麗に咲いている小花はほとんどない。ヤマハギの花期はわりと長いので、これから新しい花芽が出来てくるのだろうか。

 先日、クヌギを見た時、果実が出来始めていたが、今日見ると、果実は大分大きくなっていた。殻斗につく線形の鱗片を見ると、大分太く、長くなっているようだ。中央に果実の頭が見え始めている。

 次に、ばらのまるの橋で、アカシデを見た。来る度に果実が少なくなっているようだ。時期的にはまだ熟していないと思うが、落ちてしまったのだろうか。手の届く範囲には1つしかなかった。写真に撮ってみると、吃驚するような画像になっていた。まるで、昆虫か何かの頭のようで、丸い目が見える。大きく拡大すると、真実の目のように丸く、艶がある。「これが本当の果実だろうか」と疑いたくなるような姿である。

 ばらのまるの橋を渡り、キブシ、ハコネウツギを見ながら進んだ。2番目のキブシのところへ来たとき、足が止まった。キブシの枝先に、細い紐状のものが出てきていた。来年咲く、新しい花序が既にこんなに長くなっているとは驚いた。紐状の花序を見ると、小さいながらも冬芽が付き始めている。花序を計測すると、8㎝もあった。冬芽は1㎜~2㎜で非常に小さい。

 日陰を出ると、太陽が激しく照り付けてきた。暑くてたまらない。もみじ休憩所へ来て、日陰に入った。ここの日陰にヤブタコに似たものがある。見ると、枝先の蕾が大きくなってきている。この花について、昨年検討したことがあった(資料)。その時この花を、コヤブタバコと考えた。もうすぐ花が咲きそうなので、見続けて行こうと思っている。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1913.html

撮影:7月28日
  記  平成29年8月1日(火)
8月4日(金)
ナツツバキの果実 リョウブの果実 小谷戸の里の標識 ヤマコウバシの冬芽 水田の風景

キクモ イネの花

8月4日(金)

 この日陰から数メートルのところにナツツバキがある。こう暑いとなかなか足が動かない。のどの渇きを潤し、思い切って外へ出た。ナツツバキの冬芽を見ていると眩しい。果実は丸みを帯びているが、先が細く伸びている。この伸びているのは雌しべの痕跡である。果実を包む芽鱗に白色の毛が沢山付いている。果実の大きさを計測すると、球体の直径は2㎝であり、伸びているところは2㎝の長さがあった。下の方の果実を見ると、雌しべのところが白色のふわふわした沢山の毛で覆われ、膨らんでいる。これは一体何だろうか。何か奇妙に見える。若しかしたら、虫こぶなのだろうか。

 道の向こう側にリョウブの樹がある。もう花の姿は無くなっている。多くは雌しべの痕跡を残し、白色の果実へと変わっている。ところが、褐色を帯びているものが幾つか見える。これは果実が落ちた痕なのだろうか。よく分からない。

 小屋戸の里の標識が見えた。ここから階段を降りて行くと、水田に出る。この辺りは日陰で、直射日光が当たらない。遠方にばらのまるの丘の広場が広がっている。入口の門は最近新しくされ、綺麗になった。木製の門で、ここの環境にあっている。

 坂を下り出したところに、ウグイスカグラがあるが、今はよく見ないと、その存在が分からなくなっている。冬芽が出来ているかと、一寸見たが、その気配が感じられなかった。更に下ると、ヤマコウバシの樹がある。大分枝が伸び坂道の上を覆うようになってきた。枝や葉柄に長い毛があり、葉腋に冬芽が見える。大きさを計測すると、長さ1.5㎝、幅3㎜と非常に小さい。拡大してみると、緑色の芽鱗で覆われ、芽鱗の表面に多少毛があるようだ。

 水田へ出るところにトウバナなどがあったが、下草は刈られてすっかりなくなっていた。継続して見ていたので、残念な気がした。水田を見ると、イネの背丈が大分高くなってきた。そろそろ実り出すのか、鳥よけの網が張られ出している。

 水田を見ると、見慣れない草が生えていた。菊の葉に似た糸状の葉をしている。名前が分からないので、調べると、キクモの名前が出て来た。紅紫色の小さな唇形花をつけるとのことである。

 資料: https://matsue-hana.com/hana/kikumo.html

 背丈の高くなったイネを見ると、花が咲いていた。季節の移り変わるのが早く、「もう、実り始めるのか」と吃驚した。小花からはみ出た淡黄色の葯が綺麗に見える。

撮影:7月28日
  記  平成29年8月2日(水)
8月5日(土)
ノハラアザミ アゼムシロ(ミゾカクシ) アゼムシロ(ミゾカクシ) シモツケ ナデシコ

カラタチの果実 ユウガキク ユウガキク 舌状花:冠毛がほとんどない 筒状花:冠毛がほとんどない

8月5日(土)

 畦道にアザミが咲いていた。春に見たアザミはノアザミで総苞を触ると粘り気があった。そのノアザミが見えなくなって、再びアザミが見えてきた。このアザミの総苞を触ると、粘り気がなかった。今咲き始めたアザミは夏から秋にかけて咲くノハラアザミになるようだ。

 一寸変わったつくりをした花がある。調べると、アゼムシロであった。花弁が5枚あるようだが、付き方が変わっている。3枚が組になったのが1組、1枚のものが2組になっている。花弁の下の方を見ると、合着しているようだ。この花は、横に開いた2枚を上唇、3枚が組になったものを下唇とみる唇形花と見ている。下唇の基には緑色の斑紋がある。花弁は何となく理解出来たが、雄しべと雌しべが分かり難い。資料1によると、この花には雄性期が先にあって、その後に雌性期が来るという。更に資料2によると、「雄しべは葯が合着して花柱を取り囲み、ヘビが鎌首をもたげたように見える」と説明されていたので、写真を見直した。紫色の部分から先が雌しべになると分かるが、雄しべの存在はまだ分かり難い。花粉が飛び、葯がなくなっているのかも知れない。

 資料1:http://plants.minibird.jp/

 資料2:https://matsue-hana.com/hana/mizokakusi.html

            
 ネムノキ休憩所へ来ると、赤紫色の花が咲いていた。シモツケである。この花は先日も咲いていた。シモツケは自宅近くの公園にもあるが、年に2度咲く。開花期はこことは多少ずれているようだ。

 ここからいつものように炭焼き小屋の方へ上がって行った。垣根を通して左側の奥を見ると、ピンク色の花が見えた。あれはナデシコではないかと思い、写真に収めた。写真で確認すると、やはりナデシコであった。

 垣根にはカラタチが絡まっている。このカラタチに丸い果実が出来ていた。直径を計測すると、3㎝あった。北原白秋の「からたちの花」の詩の中に「からたちも秋はみのるよ。まろいまろい金のたまだよ。」とある。「まろい」ということは今でも分かる。この果実は秋になると、熟して黄色くなるという。北原白秋は自然をよく見つめていたことが分かる。

 右側を見ると、ユウガギクと思われる花が咲いていた。この花を見て、夏が早まっていると感じた。確かにユウガキクだろうかと、冠毛を調べると、舌状花、筒状花ともに殆ど確認できなかった。冠毛がないとやはりユウガギクになりそうだ。過去の資料を見ると、昨年の7月28日にこの花を見ている。

 資料: https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1866.html

撮影:7月28日
  記  平成29年8月2日(水)
8月6日(日)
ヤマユリ タカトウダイ ヤマユリ ヤマユリの花 ナツノタムラソウ

ナツノタムラソウ アキカラマツ

8月6日(日)

 垣根の奥を見ると、ヤマユリが1輪の花を付けていた。先日、三ッ池公園の方で、ヤマユリを見てきたので、舞岡公園でも咲き始めているのではと期待していた。ヤマユリの茎は細い上に長いので、支柱が添えられている。ここの炭焼き小屋の道へ入る前にも園道の崖で見かけている。これからそちらの方へ回る予定になっている。

 畦道へ戻ると、タカトウダイが見えた。先日、背丈が高くなったことを確認したが、このタカトウダイも背が高い。この花は雄性期と雌性期があることで珍しい花のようだ。その後、他の花にも同じように雄性期と雌性期があることを知り、花を調べ始めると、奥が深くなってくることを感じた。タカトウダイは、もう雌性期の花が多くなっているが、よく見ると、雄性期の花もいくつか見つかる。

 上の園道でヤマユリを再度見ようと思っていたところ、ここの畔にヤマユリがあった。手の届く範囲にあったので、細かく見ることが出来た。6枚に見える花弁を確認した。離れて見ていると、6枚が同じように見えるが、よく見ると確かに外側に3枚、内側に3枚あることが分かる。雄しべは6本あり、先に花粉がこぼれている大きな葯が付いている。雄しべや雌しべの根元には黄色い糸状のものが見られ、花弁に褐色の斑点のようなものが見える。この斑点のようなものをよく見ると、棘のように見えてくる。

 ナツノタムラソウらしき花が見えてきた。今日はこの花について、確認したいと考えていた。「ナツノタムラソウは色が濃く、雄しべが曲がらず伸びている」このことを念頭に小花を見たが、色の濃さではナツノタムラソウと思えるが、雄しべの曲がり方については、咲きたての小花と、萎れ始めた小花とでは違っていて区別が難しい。雄しべが伸びていると思って写真を撮ったが、この写真では明確に写っていなかった。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2338.html


 アキカラマツが見えた。花は終わりそうになっていたので、写真に収めた。この花は花弁がなく、4枚の萼と多数の雄しべからできているという。このことを確認したかったが、萼の存在が確認できなかった。萼は早めに落ちてしまうらしい。面白そうな名前だったので、語源を調べてみた。資料1によると、「長い多数の雄しべの姿を落葉松(カラマツ)に例えて名付けられた」という。「カラマツ」は分かったが、先につく「アキ」は秋に関係がありそうに思えたので、更に調べてみた。すると、資料2では、「秋が深まってから咲く」と説明されていた。成程と思えたが、この花を見ているのは7月28日である。とても秋とは思えない。特殊な例なのか、それとも季節が早まったのか、謎めいている。

 資料1:http://www.e-yakusou.com/sou/sou122.htm

   資料2:http://www5f.biglobe.ne.jp/~homepagehide3/torituyakuyou/agyou/akikaramatu.html

撮影:7月28日
  記  平成29年8月4日(金)
8月7日(月)
チダケサシ チダケサシの葉 ヤマユリ ヤマユリの蕾 ヤマユリ

ヌスビトハギ ヌスビトハギの小花 ナデシコとミソハギ ヤブラン ヤブランの小花

キキョウ

8月7日(月)

  チダケザシが見えてきた。しかし、穂状に咲き誇った花の姿は無くなっている。この姿からは、ここにチダケザシがあったことを知らなければ、チダケザシとは分からない姿に変わっている。この姿は果実になり始めている姿だと思う。しかし、この果実を見ていても、詳細はよく分からない。そこで、資料にあったって見た。資料1によると、この果実は乾燥すると、殻が割れ、小さな果実が飛び出すという。この楕円形をした緑色のものが1つの果実になるのだろうか。また、チダケザシについて調べていると、これに似たものに資料2ではアカショウマ、トリアシショウマ、ハナチダケサシ、アオモリショウマなどが紹介されていた。これを見た途端、この花はチダケサシでいいのだろうかと、自信がなくなってしまった。しかし、添付されていた葉の写真を見ると、チダケサシだけが葉の先が尖がらない鈍形になている。そこで、以前撮影した写真の葉を確認してみた。すると、葉の先は鈍形になっていた。この花はチダケサシであったといえそうだ。

 資料1:https://www.ootk.net/cgi/shikihtml/shiki_79.htm

 資料2:http://www.plantsindex.com/plantsindex/html/group/gp_astilbe.htm

 再びヤマユリが現れて来た。ここは、先日オカノトラノオが咲いていたところである。オカトラノオが咲いていたときにはヤマユリが眼中になく、何も見ていなかった。今見ると、オカトラノオの間からヤマユリが突き出ている。そこで、先日のオカトラノオの写真を見直してみた。すると、大きく膨らんだ蕾が何ヶ所かに確認できた。このときの蕾が、今見ている花になっていることになっている。

 紫色の小さな花が咲いていた。花が小さいので、名前が直ぐに分からなかった。その内、目を葉へ移すと、そこには幅の狭い3出葉の葉があった。その葉を見て、これはヌスビトハギと分かった。この花はマメ科の花で、蝶形花になっている。昨年、この花の写真を撮ろうと、何枚も撮っては見直した。それでも、納得のいく写真は撮れなかった。目で見ている分には、確かに蝶形花らしいことが分かるが、詳細は肉眼では分からない。今日も何度も挑戦した。しかし、今日もいい出来栄えではなかった。

 古民家へ入ると、庭の植込みにナデシコとミソハギが咲いていた。どちらも紫色の花である。ミソハギは細長く伸びているので、2つの違いはよく分かる。ナデシコの花は、先程垣根の奥の方で見てきた。

 奥をまわってきたところにヤブランが咲いていた。紫色の小さな花で、花弁は6枚に見えるが、よく見ると、内側の3枚と外側の3枚になっている。内側を内花被、外側を外花被と呼んでいる。そして、内側の方が少し広く、大きい。

 直ぐ近くにキキョウが咲いていた。キキョウは秋の七草として、昔から親しまれている。秋の花と言われるが、実際には7月頃から咲いてくる。万葉に時代にはこの花がアサガオと呼ばれていたとのこと。キキョウの花弁の先は尖るが、青紫色の花の形はよく似ている。

 資料:http://www.atariya.net/hana/kikyou.htm

撮影:7月28日
  記  平成29年8月5日(土)
8月8日(火)
キリの果実 オニドコロの雌花 セリ セリの小花 左がヨシ、右がオギ

水田の景色 花はノコンギクに見える 葉シラヤマギクに見える

8月8日(火)

 水車小屋で少し休憩をとった。ここの前にはキリ、エゴノキ、ヤマグワなどの樹がある。今年はキリの花の咲き悪かった。従って、果実の付きも悪くなる。先日、果実の様子を見たが、光の加減でよく見えなかったので、再度確認してみた。やはり枝先にいくつかついているだけである。緑色の楕円形で、先に長いめしべの名残が見える。大きさを知りたいが、高いので、推定するだけである。

 園道の向かい側にオニドコロの雌花がある。昨年1度見ているので、探した。オニドコロは雌雄が別株で、目にするものは殆どが雄花である。端から見ていくと、雌花が見つかった。この雌花は、先日三ッ池公園で見てきたので記憶に新しい。雄花は花軸から更に2~3個の花をつけた花序に分かれるが、雌花は花軸から1個の花しか付けない。花数が少ないので、うっかりすると見過ごしてしまう。

 これは沼地に生えていたものである。セリのようだが、名前がよく分からない。手が届かないので、写真を手掛かりにするしかない。葉は2回羽状複葉で、茎には稜がある。小花が沢山あり、1つの花がどこまでなのか分かり難い。一見したところ、八重のように見えるので、花弁の数も数えられなかった。牧野新日本植物図鑑の中のセリの欄を見ると、「花弁は5個で、内側に曲がり・・・」と記載されていた。このことを念頭に、写真を拡大してみると、1枚の花弁が内側に曲がっているので、1枚が複数枚に見えていたことが分かった。改めて、数えると、確かに5枚ということが分かった。手に届く範囲だったら、5枚と見分けることは容易く思えたが、苦労した分強く印象残った。

 ここの沼地の写真は以前にも撮影したところである。右がオギ、左がヨシと住み分けている。ヨシ、オギ、ススキは花の様子がよく似ている。また、オギとススキの葉もよく似ている。従ってこの3つを見分けるのも難しい。この3つと水との関係を考えると、水の多い方からヨシ、オギ、ススキとなる。ここでは左側の方が水が多いことになる。この点はは未だよく見ていないので、今年は見分けて見たいと思っている。

 下に青々とした水田が広がっている。こういう景色は、都会ではほとんど見られなくなってしまった。寂しいばかりである。この景色を見ていると、目も遠くを追うようになるので、このような景色は目の保養にもなる。

 これはシラヤマギクではないだろうか。先程、ユウガギクを見て、夏というより秋の気配を感じた。それが一層強く感じられるようになった。花をよく見ると、ノコンギクにも見える。シラヤマギクの花は、花弁が不完全な状態に見えるが、この花は揃っている。しかし、下の方の葉を見ると大きく、シラヤマギクになる。もう少しよく調べておくべきだった。

撮影:7月28日
  記  平成29年8月7(月)
8月9日(水)
今見ているナツノタムラソウ 先程見たナツノタムラソウ 畑に咲いたヒマワリ キツネノマゴ ヒヨドリバナ

ヒヨドリバナの小花

8月9日(水)

 ナツノタムラソウとアキノタムラソウの区別は難しい。今盛んにこの花が出てきているが、見る度に、花弁の色と雄しべの様子を見ている。これは色が薄いが、雄しべが真っ直ぐ伸びているので、ナツノタムラソウと思える。先日確認したこの花の唇形花の様子を再確認した(資料)。花の色と雄しべに気を取られていて、他の部分をよく見ていなかったので、確認した。すると、吃驚する結果が分かってきた。

 比較した結果 今見ているもの 先程見たもの 花 薄い紫色 濃い青紫色 雄しべが2本以上 2本? 5つぐらいが輪生 5個以上が半輪生 殆ど毛がない 短い毛が密生 茎 下へ向かう伏毛が疎ら 平開した腺毛が密 腺毛ではっきり見えない 稜が明確 9999 9940 萼 端に僅かに毛がある 茎と同じ腺毛が密  この結果を見って吃驚した。どちらもナツノタムラソウと見過ごしてきたが、果たして同じものだろうか。後日ゆっくり検討しなければならない。

 園道を進んで行くと、畑にヒマワリが咲いていた。背丈が高く大きなヒマワリである。夏を象徴する花で、ギラギラ光る太陽を思わせる。狐久保へ行く道を通り過ぎ、日陰に入った。照り付ける太陽がないとこんなにも違うのかと思うくらいすっきりする。藪を見ながら歩いていると、薄紫色を帯びた小さな花が見えた。「これはキツネノマゴではないか」と思った。葉が対生していて、尾のような花穂の中に咲いているのはたった1つの花である。この花を見始めるのは夏以後である。昨年の記録を見ると7月28日に見ていた。偶然全同じ日になった。

 更に進むと、ヒヨドリバナと思われる花が見えた。紐のようなものが多数突き出たボロボロのような花のイメージはヒヨドリバナである。この花が咲くのも早いのではと思える。ヒヨドリバナはここへ来るまでにも彼方此方にあったのだが、気が付かずに通り越してきた。今見ているのが最初に咲いた花と思う。小花を上から見ると、花弁の先が5つに分かれている円筒花と分かる。また、紐のようなものは、雌しべの先が2つにわかれたものであった。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1959.html

撮影:7月28日
  記  平成29年8月8日(火)
8月10(木)
ダイコンソウ ダイコンソウの花 ダイコンソウ:下の葉 ミソハギ ミソハギの花

カッパ池 オオバコの草原 オオバコ キツネノマゴ ミズタマソウ

ミズタマソウ:大きな葉 ミズタマソウの花

8月10(木)


 瓜久保休憩所から坂道を上り始めると、黄色いダイコンソウが見えてきた。先日はちらほら咲いている程度だったのが、今日は大分増えている。円形に近い5枚の花弁と多数ある雄しべがよく目立つ。花を見ていてもダイコンのイメージは湧いてこない。そこで、何故ダイコンソウというようになったのか、名前の由来を調べてみた。すると、下の方の葉がダイコンの葉に似ているという。下の葉を見ると、確かにダイコンの葉に似ている。

 資料: https://www.language-of-flowers.com/hana/se-229/

 水田の脇にミソハギが大きな株になって咲いていた。ミソハギが水際に育っている光景はいくつかの場所で見ていたが、ここにミソハギがあったとは、今まで知らなかった。この花はお盆頃咲くので、お盆では禊の花として使われてきたという。

 蒸し暑いので、カエデの木陰に入った。ここからカッパ池は何度か見ている。今のカッパ池は、ヨシを始めいろいろな雑草が犇き合い水面は殆ど見えない状態になっている。冬場の池の底は何もなく、殺風景であった。そこが、数か月でこのような光景に変わるとは、植物の生育の旺盛さに驚くばかりである。

 奥の広場へ入った。ここの奥まで足を延ばす人は少ない。この時期は野鳥も少ないのだろうか、カメラを持った人も見られない。足元はオオバコの草原が広く続いている。オオバコは日が当たらず、じめじめしたところに生えてくる。ここはそのような環境のようだ。

 オオバコの草原を見ていると、キツネノマゴが見つかった。秋になると、ここにはキツネノマゴがたくさん見られるようになるが、今見られるのは珍しい。先程、キツネノマゴが咲いているのを見たが、そろそろ彼方此方で咲き出すのかもしれない。

 カッパ池の周りを回っていると、背丈が高く、白色の小さな花が咲いていた。一見ウシハコベのような気もするが一寸と違うようだ。背丈は83㎝、葉は長さが15㎝、幅6㎝、葉柄3.5㎝ある。茎は丸い。何処かで見たような気もするが、記憶がはっきりしない。葉による野生植物の検索図鑑(阿部正敏著)で検索していくと、ミズタマソウの名前が出て来た。ミズタマソウは過って見たことがある。過去の資料を調べてみると、3年前に見ていたことになる。その時は花に目が行き、葉をよく記憶していなかった。

  資料1: https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1015.html

撮影:7月28日
 
 記  平成29年8月8日(火)
8月26日(土)
クヌギの果実 クヌギの果実 沿道のハギの樹/td> ヤマハギ コナラの果実

アカシデの花序 アカシデの花序 アカシデの冬芽

8月26日(土)

 今年の夏は、激しい雨が降ったり、暑くなったりと、天気が不安定で、出かけられない日が続いていた。今日何とか大丈夫だろうと思いながら、雨具の用意をし、舞岡公園へ出かけてみた。  ケヤキ広場へ入ると、クヌギの枝が大分落ちていた。拾ってみると、中には果実が付いている。果実は既に大分大きくなっており、詳細が分かる。大きさを計測すると、幅2㎝、高さ1.2㎝と扁平である。殻斗(総苞)の表面には線状の総苞片が多数あり、外側へ反り返っている。総苞片の中に果実本体の球面が見える。球面の中央には、めしべの痕跡と思われる突起が残っていた。

 ばらのまるの橋へ向かう園道沿いにハギの樹がある。ハギについて調べると、この辺に見られるものは、ヤマハギ、ミヤギノハギ、マルバハギの中のどれからしい。花序の長さ、葉の形などの違いを基に見ていくと、初めて見た時は、色々なハギが混ざっているように見えたが、ここのハギは、いずれも葉は丸みを帯びた楕円形で、花序は長く伸びていることが分かって来た。従って、ここのハギはヤマハギと言えそうだ。今年は、6月30日に開花を見たが、それ以後、1度に沢山の花が咲いている光景を見ることはなかった。夏場の暑い盛りには、もう花期が終えてしまったのかと思えた。それが、今は再びちらほらと咲き始めている。どうも、ハギの花を見ていると、少しずつ咲き出すようで、一気には咲かないようだ。

 ばらのまるの橋へ近づくと、コナラの樹がある。樹の下には、クヌギと同じように、小枝がたくさん落ちていた。先日の激しい雨の影響で、この様になったのだと思う。小枝を拾い上げると、やはり、果実が付いている。綺麗な緑色をしているので、落ちて間もないことが分かる。計測すると、幅1㎝、高さ2㎝だった。果実の3分の1以上は殻斗(総苞)の中に入っている。殻斗(総苞)の表面には数段に渡って三角状の突起があり、突起の先は褐色に染まっている。

 橋の上からいつも見るアカシデの樹を見た。果実の付いた花序を探したが、下の方には見当たらなかった。下に落ちているかと足元を見たが、そこにも見当たらなかった。多くは橋の下へ落ちてしまったようだ。観察を諦め、離れてもう1度振り返って見ると、枝を下げれば見られそうな花序が見つかった。そこで、再び戻り、枝を下げて写真を撮った。果実を包む総苞は大分痛んできていたが、中に楕円形の果実が納まっているのが分かった。

 枝を下げたついで、新しい冬芽は出来ているだろうかと、葉腋を見た。すると小さいが既に楕円形の冬芽が出来ていた。長さ3㎜、幅2㎜と非常に小さいが、拡大すると、褐色の芽鱗に包まれている姿が確認できた。

撮影8月22日
  記  平成29年8月23日(水)
8月27日(日)
コヤブタバコ コヤブタバコ コヤブタバコ:葉の表 コヤブタバコ:葉の裏 ナツツバキの果実

ヤブタバコ ヤブタバコ:過去の写真 葉の表:毛が少ない 葉の裏:毛が少ない ガンクビソウ

ガンクビソウ

8月27日(日)

 もみじ休憩所へ入ったところにナツツバキがあり、その横の日陰に検討中の花がある。コヤブタバコと見ているが、過去の資料を基に整理してみる。

 資料: https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1913.html
 

・花は分かれた枝の先に付く
 ・花の付け根に多数の苞葉のようなものがある
 ・花の直径が1.3cm
 資料: https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1890.html

 葉は互生、表裏に毛がある、葉の長さ15㎝、葉の幅6㎝、下へ行くほど葉は大きくなっている(長さ23㎝、幅9㎝)、蕾の直径1.3㎝

 花は茎の頂点、葉腋から出た枝の頂点に1つずつ横向きに付いている。

 ヤブタバコの花は葉腋に付き、花には殆ど殆ど柄がないという(資料)。この花には長い柄がある。従って、この花はヤブタバコではなくコヤブタバコになるようだ。

 資料: https://matsue-hana.com/hana/yabutabako.html

 コヤブタバコを確認した後、ナツツバキを見た。果実の多くは白色の粉を振りかけたような状態になっている。恐らく虫に害されていることと思う。子房が膨らみ出したのか、萼片が大分開き始めている。萼片、子房にも沢山の毛が目立つ。

 もみじ休憩所からばらのまるの広場へ入り、進んで行くと、左側にコヤブタバコに似たもので大型のものが現れてきた。これは先程のコヤブタバコと少し違っているようだ。今、此方には花も蕾もない。上の方が沢山枝分かれし、長い柄が伸びている。この枝に、コヤブタバコに似た花を沢山つける。過去の写真を見ると、この花には柄が見られない。従ってこちらがヤブタバコになると考えられる。ヤブタバコの葉を見ると、表裏の毛はコヤブタバコより少ないようだ。

 ばらのまるの丘から水田へ向かって坂を下り始めると、再び、コヤブタバコ、ヤブタバコに似た花が現れて来た。此方は、先程の2つと比べると、明らかに葉が細い。また、花の色はコヤブタバコより濃い。長い柄のある点はコヤブタバコに似ている。これはガンクビソウになるようだ。

撮影:8月22日
  記 平成29年8月23日(水)
8月28日(月)
水田 イネの果実 シマスズメノヒエ シマスズメノヒエ:柱頭は黒色、葯は黄色 ヌスビトハギ

ヌスビトハギ ナツノタムラソウ アキカラマツ:萼が見える アキカラマツ:雌しべ ネムノキの果実

ツルボ ツルボの小花

8月28日(月)

 水田へ下りると、青色の網をかけられた中ではイネが黄色い穂を付け実っていた。4月25日に水田の中をはじめ畔には春の野草がいっぱい咲き、4月30日には水田は耕させ、土が掘り起こされ始めた。そして、6月3日に、田植えが行われ光景を見てきた。今日は8月22日である。田植えから3か月が経っていないのにイネは早くも実り始めている。この間があっという間の出来事であったように感じる。数か月で、沢山の実りをもたらすイネの発見は、人の生活を豊かにしたこと語り伝えている。花序の長さ25㎝、1粒の果実を計測すると、長さ7㎜、幅4㎜あった。

 水田沿いの畔にシマスズメノヒエが見える。シマスズメノヒエは色々な所で見かけるが、ここにこんなに纏まって出現するとは予想していなかったし、今まで気が付かなかった。シマスズメノヒエに似たものにスズメノヒエがあるが、此方は殆ど見ることがない。

 水田へ出ると、暑さが厳しくなってきた。今日は折りたたみ傘を用意するほどで、これほど太陽が照り付けてくるとは予想していなかった。上の道を通りかかった人が「暑いですね」と思わず声をかけてくれた。ここの溝沿いにアザミが出てくるので、期待して近づいたが、アザミの姿はなかった。土手側を見ると、ヌスビトハギが先日よりもいっそう勢力を増し、崖下を隙間なく覆い隠していた。

 水の流れ近くにはナツノタムラソウだろうか、細々と花を付けていた。下の方にあるので、確認が難しかったが、何とか写真に収めて見ると、正確ではないが、花弁の色の濃さからナツノタムラソウになりそうだ。雄しべの方は不正確だが、外へ出ているように見える。

 アキカラマツの淡黄色の花が沢山見える。花は小さく、先日撮影した時は、うまく焦点があっていなかったので、撮り直した。先日よりは鮮明に撮れている。開花と同時に落ちやすいといわれている萼を撮影した。後ろから撮影したので、4枚の萼が数えられる。花柱は殆どなく、雌しべについては、資料で「花柱は殆どなく、柱頭は3角状長楕円形」と説明されていたので、花の中を注意深く見た。すると、雄しべの下の方に3本の短い雌しべらしいものが見えてきた。資料の写真で確認すると、間違いないようだ。

 資料: https://matsue-hana.com/hana/akikaramatu.html

 ネムノキの第1休憩所で一休みした。日陰に入ったが今日は風がないせいか、暑く疲れを感じる。リヤカーに刈り取った草を満載して、運んでいる人がいる。大変な作業だと思った。ここの休憩所の周りにはネムノキがある。前方のネムノキを見ると、果実が枝から下がっているのが見えた。マメ科独特の鞘で、数か所に果実があると思われる膨らみが見える。

 さらに前方の叢を見ると、1本のピンクの花が見えた。その姿からツルボではないかと思った。確かめるために近づいた。花序は直立しており、花がぎっしり付いている。花をよく見ると、わりと長い花柄があり、その先に1つの花が付いている。小花を見て、花弁を確認していくと、一瞬6枚以上に見えてきた。「可笑しいと」と思い、よく見直すと、多く見えたのは、雄しべを数にいれていた過ちであった。雄しべの花糸は花弁と同じ色で、写真を拡大すると、葯が画面から消え、細い花弁に変わってくる。改めて花弁を数えると、6枚になる。

撮影:8月22日
  記  平成29年8月23日(水)
8月29日(火)
ツルボ ユウガギク ユウガギクの花 キンミズヒキ シロバナサクラタデ

シロバナサクラタデの小花 葉鞘部分 雌しべが見える 腺点が見える

8月29日(火)

 ネムノキ休憩所から炭焼き小屋へ向かった。畦道から園道へ上がると、目の前に古井戸がある。昔使われた井戸で、昔の人の生活を知る貴重な遺産となっている。田舎の方ではそのまま残されている家もあるのではないかと思う。ここから垣根の中を見ると、先程見たツルボが何本かかたまって咲いている光景が目に入って来た。ここからはよく見えないが、ツルボの花の美しさは先程見てきた。ツルボは一見ヤブランに似ているが、此方の方は、色が薄く、花茎が真っ直ぐ伸びているので、違いが分かる。

 先日、ここへ来たとき、垣根沿いにユウガギクが咲き始めていた。その後どうなったか近づくと、花の数は増えていたが、驚くほどの増え方ではなかった。開いた花弁は白色に、僅かに青紫が入っているが、蕾を見ると、青紫色をしている。もう直ぐ、ノコンギクが現れてくる。そのころになると、2つの区別が難しくなる。

 ユウガギクの向かい側を見ると、黄色い花が咲いていた。その花を見て、「いよいよキンミズヒキが咲き出したか」と秋を感じた。この葉は、奇数羽状複葉で、小葉には大小があり、5~9枚ある。この独特の形をした葉が、早くから色々な所に現れていたので、花が咲くのを待っていた。この葉をしたものは「キンミズヒキでは」と思いながらも、花が咲くまでは確信できなかった。

 奥へ入ると、垣根の傍に白色の小さな花が咲いていた。タデの花であることは分かるが、正確な名前が分からない。いままでの経験から、シロバナサクラタデの名前が浮かんできたので、調べ直してみた。  背丈は110㎝とタデの仲間では背が高い。花序15㎝の長さがあり、白色の小花が互生している。花柄は下の葉鞘の中から出ていて、葉鞘の縁には長い毛が見られる。

 葉は節から出て、節の上は鞘になり、その先から別の葉が出ている。節の下部は赤みを帯び、上の鞘、葉の表面には上へ向かう伏毛がある。節の上の葉鞘部分は濃褐色を帯び、先に長毛が疎らに見られる。

 シロバナサクラタデは雌雄が別株だという(資料)。すると、この小花はどちらになるのだろうか知りたくなる。小花は幅3㎜、高さ5㎜ある。雄しべと雌しべを探したが、小さくて分かり難い。幾つかの小花を追いかけ、覗いてみると、白色で2本長く伸びているものが雌しべで、その周り見られる短い5本ぐらいのものが雄しべに見えてきた。従って、これはシロバナサクラタデの雌花、すなわち雌株と考えられる。

 資料: https://matsue-hana.com/hana/sirobanasakuratade.html


 更に葉の裏に腺点があるというので、確認した。葉の裏面を見ると、腺点を示す緑色の点が散在している。葉脈上には毛があり、葉の縁には細かい鋸歯が見られる。

撮影:8月22日
  記  平成29年8月24日(木)
8月30日(水)
シロバナサクラタデの小群落 センニンソウ ワレモコウ:小花が咲き出した ミゾソバ ミズタマソウ

ツリガネニンジン

8月30日(水)

 炭焼き小屋の前で、シロバナサクラタデを見た感動が残っている。シロバナサクラタデは垣根付近だけと思ったが、見直すと、奥の方まで続いており、小さな群落を形成していることが分かった。

 再び畦道へ戻って、先へ進んだ。新しい発見は続くもので、今度は水路の縁にセンニンソウが見えてきた。この花も大きな群落をつくる。センニンソウはつる性で、白色の大きな十文字の花を咲かせる。この花弁に見えるものは、萼だという。強い太陽の下で見た、大きな群落は眩いばかりであったことを覚えている。ここはミゾソバやワレモコウなどと混生している。

 直ぐ傍にワレモコウがあり、花が咲き始めたように見えた。ワレモコウの花は、長い花茎の先に紫色の塊が付いた単純なものだが、よく見ると、紫色の塊の中には小さな小花がぎっしり詰まっている。丁度上の方の小花が咲き始めたところのようだ。この花にも花弁がなく、萼片が4枚あり、暗紅色をしている。

 水路沿いを見ていると、ミゾソバが見えた。この花は日が出ていないと萎んで仕舞うようだ。そのため1度で撮影できたことはほとんどない。ところが、今日は珍しく咲いていた。花弁の縁が薄く紫がかっている。小さいこの花を撮影すると、大抵中が鮮明に写っていない。そこで、今日は絞りを調節して撮影してみた。すると、いままでよりも多少鮮明に撮れた。花は幅2㎜、高さ4㎜と非常に小さい。

 ミズタマソウが見えた。前回見たのは藪の縁だったが、今日は水路沿いで見ている。この花はカッパ池の周りでも見ている。水気のあるところに生育するようなので、名前の由来と一緒に調べた。牧野新日本植物図鑑によると、生育場所は、「山野の日陰の地あるいは半ば日陰の地」で、名の由来については、「白い毛のある球形の子房を露がかかった水玉にたとえたもの」と説明されていた。成程と思った。それにしても「昔の人は情緒があるなぁ」と感じた。ミズタマソウに似たものにウシタキソウがあることを知った。此方は葉の付け根がハート形になっているという念のために葉を見直してみた。付け根はハート形でないようだ。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1015.html


 ツリガネニンジンが見えてきた。ツルボ、ツリガネニンジンと今日は秋の花を初めて見つけている。8月も下旬なので、秋の気配があるのは当然かもしれないが、季節の草花を通して知ると、実感が湧いてくる。花をよく見ていくと、既に枯れたもの、萎んでいるものもある。この様子から判断すると、今咲いたばかりではないようだ。この花は、数段に渡り、小さな釣鐘状の花を沢山輪生しているところに特徴がある。

撮影:8月22日
  記  平成29年8月24日(木)
8月31日(木)
キツネノマゴ キツネノマゴの花 ムクゲ キツネノカミソリ オトコエシ

イチモンジセセリ

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8月31日(木)

 風がないので、畦道を歩いていると暑さが応える。少し歩けば水分を補給したくなる。それでも町の中を歩いているよりはずっと気持ちがいい。稲をはじめまわりの緑が目を癒してくれ、細い水路の水の流れの音が耳を癒してくれる。キンミズヒキ、ツリガネニンジン等、周りには大分秋の草花が増えてきた。  先日それほどでもなかったキツネノマゴが頻繁に現れている。大きくなってきたキツネノマゴの写真を撮った。何時も焦点の合わない写真が、今日は少し焦点が合った。キツネノマゴの花は唇形花で、上唇と下唇に分かれている。上唇に沿って2本の雄しべが這い上がってきて、葯を付けている。葯の下に見える曲線型のX形をしたものは何だろうか。下記の資料に、「これは雄しべの柄の距である」との説明があった。下唇は紫色をしており中央に白色の興味を引く模様が描かれている。また、舌を出すように下へ反り、先は3つに割れている。細かいところを見ていくと、なかなか面白い。

 資料1: https://s.webry.info/sp/kobehana.at.webry.info/201609/article_17.html

 ネムノキの第2休憩所へ着いた。ここでまた一休みである。今日は暑いせいか、訪れている人が少ないようで、前を通り過ぎる人がいない。この休憩所の右側に紫色の花を咲かせたムクゲの樹がある。よく見かけるムクゲの花は白色やピンクが多いが、この紫のムクゲの花もいい。緑の中に咲く花を見ていると、暑さも心持弱まるようだ。

 山側の土手を見ると、オレンジの花が見えた。ノカンゾウだろうかと思ったが、花弁の色が濃く、幅が広く感じた。その時、「キツネノカミソリ」の名前が浮かんできた。キツネノカミソリの葉は早春に伸び出し、夏ごろには枯れるという。従って、今は葉がない。花弁は6枚だという。牧野新日本植物図鑑によると、葉の形から、キツネノカミソリとなづけられたという。

 古民家へ入って裏庭へまわった。すると、背が高く、白色の小さな花を付けたものがあった。この姿を見て、「オトコエシ」ではないかと思った。例年、オミナエシを見てからオトコエシを見た気がしていたので、驚いた。下から伸びた茎は上で枝分かれし、その先に散房状に小花を付ける。小花の先は5裂している。オトコエシの葉は羽状に深く分裂し、独特な形をしている。

 チョウのようなものが葉に止まった。見たところガのようにも見える。チョウとガはどこが違っているのだろうか。過って、止まる時、「チョウは羽を閉じ、ガは開いたままと」と学んだことがある。不安定なので、もう1度調べてみた。資料によると、記憶に間違いなかった。更に資料では、触覚の先の違いについて、「チョウの触角の先は棍棒状で、ガは尖っている」と説明されていた。この説明を念頭に写真を見直すと、羽は閉じており、触覚の先は棍棒状になっている。その結果、チョウであると分かった。

 更に、このチョウの名前を調べることになった。これは難問だと思ったが、資料1で「セセリチョウ」を選択すると、最後のイチモンジセセリへ到達した。更に、資料2で、イチモンジセセリを確認すると、間違いないようだった。

 資料1:https://www.insects.jp/index.htm

 資料2:https://www.insects.jp/konbunrinseseri.htm

  
撮影:8月22日
  記  平成29年8月24日(木)