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平成29年度                                                            舞岡公園の植物へ
6月1日(木)
草の丈が高くなった前田の丘 アカメガシワ クリの樹の雄花 クリの樹の雌花と思った花 ヤマボウシ

エゴノキ エゴノキの花 アワブキ アワブキの花

6月1日(木)

 瓜久保から山を上り、前田の丘を目指した。何時もはこの逆コースをたどっている。逆コースは上りなので、草臥れる。それは覚悟で上って行った。ほとんど人が通らず、周りも暗い。ここの通り道に、オニシバリがあったのだが、刈られてしまったのか。姿が見えなかった。コナラ、ムラサキシキブなどを見ながら進んで行った。道を覆った大きなミズキの樹の下をくぐると、前田の丘へ出る。視野が開け、明るくなった。前田の丘は草丈が大きくなっている。見たい樹木は奥の方にある。前回までは、易々と中へ入って行けたが、今日は入って行けるか不安になった。下へ下り、よく見ると、人の通り道が出来ている。同じように奥の樹を見に来ている人がいるようだ。その道を通って進んで行った。

 最初に見るのは、アカメガシワである。もう葉は大きくなったのだから、新葉のように赤い葉はないだろうと思って、葉を見た。すると、予想とは違っていて、枝の先にはまだ新葉がつくられていて、赤みを帯びていた。しかし、春先の赤みよりはずっとうすくなっている。

 次はクリの樹を見た。この樹を最初に見た時は冬芽だったので、確かにクリの樹とは確信がなかった。クリの樹とクヌギの樹の葉はよく似ている。この葉の鋸歯は薄い緑色である。従ってクリになる。花が咲いているので、雄花、雌花を探した。雄花は一見して分かる。雄しべが沢山突出ており、マテバシイやスダジイイの雄花に似ている。雌花も似ているだろうと探したが確かなものは見つからなかった。雄花とは違ったものが見つかったので撮影してみた。すると、花序の基の方に雄花が見られる。雌花に見えたのは雄しべが落ちてしまったものかもしれない。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1864.html

 一段高いところにサクラの樹が並んでいる。赤みのある花だったことを覚えている。しかし、未だ名前をはっきり捉えていない。そのサクラの樹の後ろにヤマボウシがある。ここのヤマボウシも丁度見ごろのようだ。葉の緑、萼の白が新鮮に映えて見える。中の小花も咲き出している。

 さらに奥にはエゴノキがある。毛に包まれた小さな冬芽の時から見てきたが、花が咲きエゴノキだったことが確認できた。エゴノキは各地で見てきたが、枝から下がったこの白色の花を見ると、心が純白になるようで、気持ちが落ち着いてくる

 エゴノキの後ろに、今日見たかったアワブキがある。この冬芽は星状毛で覆われ、アカメガシワの冬芽に似ていた。そして、ハサミ型に分かれていたことが思い出される(資料1)。葉は互生で、クリの葉に似ている。枝先に円錐花序を出して小花を沢山付ける。小花を見たとき、黄白色の花弁が3枚あると見えた。3枚とは変わっていると思い、調べてみた。すると、資料2では「花弁は5個、外側の3個は大きく広卵形、内側の2個は小さく線形」と記載されていた。改めて写真を見ると、確かに線形のものが2本認められる。これも花弁だったとは初めて知った。冬芽を見て、アワブキであろうと思ったが、何とか的中していた。

 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2204.html

 資料2:  http://matsue-hana.com/hana/awabuki.html

撮影:5月24日
  記  平成29年5月28日(日)
6月2日(金)
道を埋めていた花 イイギリの雄花 イイギリの雄花の花序 オトコエシの葉 右側:エゴノキ 左側:ウツギ​ヤマボウシ

ハタザオ ハタザオの花

6月2日(金)

 前田の丘で、冬の間に見ていた冬芽から咲く花を確認した。クリ、アワブキは間違いなかった。さらに奥にはコブシの樹があるが、この樹の花は前回確認した。今日の観察もほぼ終わったので、道へ出た。この道沿いにキブシの花が沢山あったが、今ではみんな果実に変わっている。

 道を歩いていると、足元に花の形跡のあるものがたくさん落ちていた。余りにもたくさんあるので、「これは何だろうか」と調べる気になった。頭の上にあるのはキブシである。キブシはこのような花を付けない。するとさらに上にある樹から落ちて来たのに違いないと思った。落ちている花を拾い上げてみた。何処かで見たような気がする。思い出して行くと、先日岸根公園で見たイイギリの雄花の気がしてきた。あのときは、花は高いところにあり、写真で見ただけである。比べてみると間違いなかった。ということはキブシの上にイイギリの樹があることになる。道から少し離れ、キブシの上が見えるところへ移動した。上を見ていると、今でも、雄花がポツリポツリと落ちてくる。目をさらに上へ移すと、イイギリの雄花が見えて来た。枝から花の花序が下がっている。確認のため写真を撮った。焦点が上手く合わなかったが、イイギリの雄花に間違いないと確認できた。

 昨年の秋、ここの道端に嵐でなぎ倒されたオトコエシが花を付けていたことが思い出される。その後どうなったかと気になっていた。気を付けながら見ていくと、それらしい葉が見つかった。オミナエシは匍匐枝を出さないが、オトコエシは匍匐枝を出して増えるという.

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1937.html

 園道へ出る坂道へ来た。いつもはここから上がって来るが、今日は反対になった。ここは白色の花が目立つ。右側はエゴノキで、左側はウツギである。路面を見ると、エゴキ、ウツギとも既に花が落ち出している。

 園道へ出たところで、ひょろ長くまっすぐ伸びている茎が見つかった。背丈を測ると、115㎝もあった。細い茎でこれだけ高く伸びるものは珍しい。見るからにハタザオのイメージが湧いてくる。先日、ヤマハタザオを見ているが、2つの違いがまだよく分からない。此方の茎には毛がないので、ハタザオになると思える。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2248.html

撮影:5月24日
  記  平成29年5月28日(日)
6月10日(土)
ヤマハタザオ ヤマハタザオ ウツギ マユミの果実 オトコエシ

ミズヒキ 前田の丘の草原(左:ススキ、右:セイタカアワダチソウ) ススキ セイタカアワダチソウ

6月10日(土)

 6月7日(水)、外は曇っている。天気予報によると、明日から雨のようだ。若しかしたら、既に梅雨に入っているかも知れない。今日は、幾つか確認したいことがあるで、舞岡公園へ出かけた。

 今日は、バスの都合で坂下口から入ることになった。久しぶりに何時もの逆のコースである。公園入口へ来ると、先日見たハタザオが見えた。真っすぐ上へ伸びている。「よく倒れないなぁ」と感心する。今日は旗になる花が咲いていない。先日は、葉や茎の毛の有無をよく見ていなかった。写真で判断して、毛がないようなので、ハタザオと見たが、今日見ると、はっきりと毛の存在が認められる。従って、これはハタザオでなく、ヤマハタザオになる。

 坂を上り始めた。右側に見えたウツギの白色の花は無くなっている。エゴノキの花もない。マユミの樹の角張った果実だけが目に付く。これはガマズミだった。これもすべての花が落ちてしまっている。白色の花で満たされた賑やかさがなくなり、寂しさが漂っている。

 右に坂が続いている。先日、左側にオトコエシを見たが、今日見ると、オトコエシが続いている。こんなにオトコエシがあったことに気が付かなかった。右側を見ると、オトコエシはなく、ミズヒキが続いている。細い坂道を挟み、左右の植生が違っているのが不思議である。

 坂を上りきると、前田の丘へ出る。手前の草は刈られているが、奥の草は、背丈が一層高くなってきている。中へ入り始めると、細い道を挟み、左側にススキが、右側にセイタカアワダチソウが群生し、住み分けられている。ススキは背丈が高く、2mを越すものも見られる。それに比べ、セイタカアワダチソウは、まだ1mに満たないものが多い。

 昨年刈られたところで、イヌコウジュやイヌトウバナを見た記憶があったので、どのぐらいの芽生えになっているか知りたかったが、残念ながら今日は見ることが出来なかった。

撮影6月7日
  記 平成29年6月8日(木)
6月11日(日)
アカメガシワの蕾 クリの雌花、右は雄花 枯れたヤマボウシ 花が咲いているヤマボウシ アワブキ

アワブキの花 瓜久保へ通じる入口

6月11日(日)

 背丈の高くなった草の間をアカメガシワの樹を目指して進んだ。アカメガシワの樹には沢山の葉が茂り、冬場に見た痛々しさは感じられない。三ツ池公園で枝先に花芽が突き出ていたのを確認していたので、ここのアカメガシワについてもある程度は予想していた。蕾を見ると、緑色の地に毛なのか白色の斑点模様なのかが存在する。アカメガシワは雌雄が別株になっている。この株がどちらなのか、花が咲くのが待ち遠しい。

 直ぐ隣にクリの樹がある。先日は雄花しか見てこなかった。この雌花を三ツ池公園で確認したが、牧野新日本植物図鑑で説明されていた「雌花は普通3個が集まって鱗片のある総苞に包まれている」という点をしっかり捉えなかった。今日見ると、1つの塊の中に確かに3個の雌花があることが確認できた。白色の花柱は5本まで分かるがそれ以上は分からない。

 この樹はどうしたのだろうか、葉が1枚もついていないところを見ると、枯れてしまったようだ。冬場の2月8日に此処の樹の冬芽を見ているときには、全然気が付かなかった。確か冬芽を見て、ヤマボウシと判定していた。この付近にヤマボウシは3本あるが、皮肉なことにこの樹を除いた2本には沢山の葉がつき、花が咲いていた。自然の厳しさが感じられる。

 アワブキの花をもう1度よく見ようと近づいた。見ると多くは果実に変わっている。瞬間「これは仕舞った」と感じた。しかし、よく見直すと花があり、安心した。「花弁は5個、外側の3個は大きく広卵形、内側の2個は小さく線形」である点を再確認した。今日の写真には葯も写っていた。さて、果実と思ったものを見ると、何か納得がいかない。白色の雌しべが1本突き出ているが、下は丸く、蕾のようにも見える。そこで調べると、果実の写真の殆どは雌しべが残っておらず、この写真とはかけ離れていた。諦めかけていたところ、下の資料が見つかった。下の部分は子房と記名されている。花が終えたばかりの状態であることが分かった。

 資料:http://curiosity100.blog90.fc2.com/blog-date-201106-1.html

 前田の丘の草原から出た。先日ここの道にイイギリの雄花がぎっしり落ちていたが、それが黒くなっている。その姿にはもうイイギリの名残が残っていない。瓜久保へ通じる入口へやって来た。ここはいつも薄暗い。今も左側のヤマグワ、右側のミズキの葉で覆われている。更に、その下をエゴノキ、キブシの葉が覆っている。このトンネルのようなところを入っていくと瓜久保休憩所へ行ける。

撮影:6月7日
  記  平成29年6月8日(木)
6月12日(月)
ムラサキシキブ 葉の表:疎らに毛がある 葉の裏:葉脈上に毛がある ヤマボウシ カッパ池:ヨシとミゾソバで2分されている

左:ハンノキ、右:エゴノキ ブンゴウメの果実

6月12日(月)

 瓜久保へ向かう途中にムラサキシキブが何本かある。見るとまだ蕾である。すでに他所でムラサキシキブの開花を見ている。ここは開花が遅いのだろうか。このムラサキシキブを見ると、コムラサキ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキを思い出す。このうち、コムラサキが2つとは違うことは分かるが、ムラサキシキブとヤブムラサキの違いがよく分からない。毎年この時期になると、この課題に取り組むが、未だに解決できていない。ヤブムラサキは全体に星状毛が多く、触るとビロード状の手触りがあるという。ところが、この辺の判断が難しい。この葉を見ると、毛はあるが、密生はしていないようだ。星状毛か、ビロード状の手触りについては、判断が難しいが、これはムラサキシキブだと思う。

 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1404.html

 資料2:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1799.html

 資料3:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1791.html


 カッパ池へ出ると、ヤマボウシが直ぐに目に入ってきた。緑一色の中に、白色が鮮やかに映っている。前回も見ているが、花数が更に増えて来たようだ。前田の丘でも沢山の花が咲いていた。今、舞岡公園ではヤマボウシが一番よく咲いている花のようだ。

 カッパ池を見ると、ヨシが猛威を振るい出している。背丈も2mを越すようなものがあるようだ。非常に密集している。垣根付近を見ると、ここにはヨシがなく、ミゾソバが大部分を占めている。まさに、カッパ池はヨシとミゾソバで2分されている。

 カッパ池側にエゴノキとハンノキが1本ずつあるが、何方も元気がない。昨年からこの公園のハンノキに元気がなくなっているように見受ける。今年は、冬芽だけは見たが、花や果実は見ることが出来なかった。ここのハンノキを見ても葉が随分少ないようだ。

 奥の広場へ行き、入り口にあるブンゴウメを見ると、大きな果実が出来ていた。大きさを計測すると、直径が3㎝あった。3㎝というと、たいした長さでないが、果実の見掛けの大きさは3㎝より大きく見える。枝を見渡すと、この大きな果実が、あそこに、ここにと沢山出来ていることが分かった。

撮影:撮影:6月7日
  記  平成29年6月8日(木)
6月13日(火)
サワグルミ サワグルミの果実 モンシロチョウ カラスザンショウ カラスザンショウの蕾?

ヒメジャノメ ヒトリシズカ? ニシキギの果実

6月13日(火)

 瓜久保にサワグルミの樹がある。4月20日この雄花を見たが、雌花を見ることが出来なかった。牧野新日本植物図鑑によると、「雄花は前年に伸びた枝の端の葉腋から非常に長い尾状花穂を垂れ下げる。雌花の穂は新枝の先に付き、長い柄があり、非常に細長く、まばらに細かい花をつけ・・・」と説明されている。挿入された図から見ると、両方が同じところから出ているように見える。違いは雌花の穂が上から出ていて、長い。資料でも、雌花の花穂の方が長いと説明している。このことを参考にして4月20日に撮影した写真を見直したが、雌花は確認できなかった。今日、サワグルミを撮影した写真を見ると、葉に隠れて長く垂れているものが見つかった。この時期なので、花ではない。果実と思い、写真に収めた。写真を見ると、苞葉の中に黒ずんだものが見える。これは果実に間違いない。雌花を見ずに、果実を見たことになる。
 資料:http://blog.crooz.jp/gitonszimmer2/ShowArticle/?no=43

 水田を見ながら、坂を下って来ると、白色のチョウが舞ってきた。モンシロチョウと思えるが、飛んでいると確認が難しい。止まるのを待っているとなかなか止まってくれない。ヒメジョオンの花に止まった瞬間を撮影した。羽根の一部に黒色の斑紋が見られるが、モンシロチョウと思う。

 瓜久保休憩所で休憩をとった。道路の向こうに畑が広がり、更に遠方には緑の山が広がっている。その山に同じような樹形をした樹が連なっているのが見える。「何の樹だろう」と思った。望遠を効かして写真を撮ってみた。奇数羽状複葉をした葉のようだ。見覚えのある葉をしている。一先ず、後で調べることに決め、目を右側に移すと、瓜久保休憩所の脇に同じような樹があることに気が付いた。その樹には小さな蕾が沢山付いている。その姿を見て、この樹はカラスザンショウではないかと思った。もう1度、遠方に見えた樹の写真を見直すと、その写真には、カラスザンショウと見た果実と同じものが写っていた。向こうに連なる樹はカラスザンショウになると分かった。改めて遠方を見直すと、カラスザンショウの樹は何本もあることが分かる。

 みずき休憩所を目指して階段状の坂道を上って行った。薄暗い中に黒っぽいチョウが舞ってきた。暗灰色の羽根に丸い斑紋がある。調べてみると、ヒメジャノメによく似ている。資料によると、「クヌギなどの樹液や腐った果実によくやってきます。5月~9月頃まで見ることが出来ます。」と説明されていた。ここも同じような環境である。

 資料:http://www5f.biglobe.ne.jp/~escargot/1_Data/1_Species/1_10/00_Lepidoptera_Butterfly/022_Satyridae/1_02210_01_02.html

 4輪生のような葉が見えた。見覚えがある。楕円形の形、縁の鋸歯の様子を見ると、ヒトリシズカに葉に似ている。ヒトリシズカになるのだろうか。ヒトリシズカも花がないと分からなくなってしまう。

 みずき休憩所には、ミズキの樹は無論のこと、ここにニシキギの樹がある。ベンチに座りながら見ていると、葉の中に、黄緑色のものがあちこちに見えて来た。今頃新葉ではない。よく見ると、新しく出来た果実であった。この果実は秋になると、赤く熟してくる。頭には、ニシキギの果実は赤いものとのイメージがあったので、この緑色のものが直ぐに果実に結びつかなかった。

6月14日(水)
下草が刈られたみずき休憩所 刈残されたヒメジョオン 草が刈られ出来た小さい広場 コヒルガオ コヒルガオ:花柄に翼がある

藪に覆いかぶさるヒメコウゾ ヒメコウゾの果実 ウマノミツバ ウマノミツバの小花 狐広場

オニグルミの果実

6月14日(水)

 みずき休憩所へ来たのは久しぶりである。先程ニシキギの果実を見て果実のイメージを新たにした。休憩所は下草が刈られ、すっきりしている。景色を見ようと前方へ移動すると、刈り残された一画にヒメジョオンが咲いていた。夏の花のヒメジョオンが咲き出したから、暫く花が見られるように残したのかもしれない。

 久し振りにみずき休憩所から中丸休憩所へ行くコースを進んだ。下り坂に入るところにハコネウツギ、イボタノキがある。1本のハコネウツギは上の方が枯れたのか、バッサリ折れている。イボタノキには小さな緑色の果実が出来ていた。ここの暗いところにある坂を下りると、視野が開けてくる。下へ下りた途端、目を瞠る光景が広がっていた。何時もは草が茫々と生い茂り、中へ立ちることが出来ない状態なのだが、草が刈られ、小さな広場が出来ていた。

 広場の中を進み、藪へ近付いた。ヒルガオが見える。ヒルガオは、もうずいぶん前から咲いているが、目に付いたので撮影した。ヒルガオもコヒルガオとの区別が難しい。普段見かけるヒルガオは殆どがコヒルガオで、ヒルガオを見ることは滅多にない。このヒルガオはどっちなのだろうかと調べた。狭いが、花の柄に翼が見られる。従ってこれはやはりよく目にするコヒルガオになる。

 藪の上に葉が伸びてきている。この葉は一体何だろうかと、持ち上げてみた。すると、毬のようなものがついた球体が現れて来た。これはヒメコウゾの果実である。この葉はヒメコウゾの葉であったことが分かった。

 先程見たヒメジャノメのチョウが舞ってきた。ここは先程のところより薄暗いので、ヒメジャノメが一層暗く見える。見覚えのあるウマノミツバが見えた。葉を見て、この花をウマノミツバとしてしまっているが、花の特徴はまだよく掴んでいない。

 坂を下ると、オニグルミのある狐広場へ通じる道に出た。ここへは余り人が入ってこない。広場へ着くと、誰もいなかった。緑の広場が広がり、静かである。オニグルミの果実は未だだろうかと、梢を見た。どこを見ても果実は見当たらない。先日雌花を枝の先に見たので、そこを中心に見たが見当たらない。諦めて帰り始めたところ、先日花を見たことのない樹に果実が見えた。ここに雌花があったのだろうかと不思議に思った。果実は楕円形で、表面に産毛のような毛が生えている。

撮影:6月7日
  記  平成29年6月9日(金)
6月15日(木)
大きなマユミの樹 マユミの果実 オオシマザクラの果実 ヤマホタルブクロ:副萼 ヤマホタルブクロ

ホタルブクロ:萼が細長く、副萼が反っている ホタルブクロ​ エゴノキのムシコブ​

6月15日(木)

 狐久保広場から中丸休憩所を目指した。ここからは道が細く、薄暗い。この道を塞ぐように大きなマユミの樹が被さっている。このマユミの樹を見るのは久しぶりである。マユミについては、既に、沢山の果実を見てきている。この老木のマユみにも果実が出来ているだろうと、上を見た。沢山の果実が付いている。老木に見えるが、生気が感じられる。

 急坂を上りきると、中丸休憩所へ出る。ここの広場の周りはサクラの樹が取り巻いている。その中のオオシマザクラの果実が目に入ってきた。赤、緑、黒と色々な色の果実が混ざっている。オオシマザクラの果実は緑から赤へ、そして黒へと色が変わっていくようだ。

 ここからイヌシデの見られる松原越し休憩所へ坂を下って行った。この坂の両端に、先程確認したカラスザンショウがある。この樹で目が届くのは幹に見られる棘である。短いが鋭い。ここ過ぎ、松原休憩所の広場へ出ると、早速見えたのがホタルブクロである。このホタルブクロは、ホタルブクロ、ヤマホタルブクロのどちらだろうかと確認した。萼を計測すると、長さ2.5㎝、幅1.3㎝であり、副萼は反っていなかった。従って、これはヤマホタルブクロになるようだ。

 コナラの樹の近くに、再びホタルブクロが出て来た。今度はどちらになるのだろう。再び、萼を確認することになった。長さ3㎝、幅は計測しなかったが、基が太く全体が細長い。ヤマホタルブクロの萼は幅が広く、短いという。これは一般のホタルブクロになるようだ。何度も、ホタルブクロの萼、副萼を見てきたが、漸く、2つの区別がつくようになった。

 畑側にかなり傾いたエゴノキがある。最初この樹を見た時は、貧弱そうに見えたので、あまり関心がなかった。ところが、貧弱そうに見えても、沢山の花をつけた時から注目するようになった。今は花が終わり、果実期に入っている。この樹で面白いのは、大きな虫こぶがつくことである。自然と目は果実より虫こぶへ行ってしまう。今日も大きな虫こぶが出来ていた。

 イヌシデを見たが、果実は見つからなかった。昨年は、ここのイヌシデで雄花、雌花、果実と見ることが出来たが、今年は、雌花が見られなかったし、また、果実を見ることが出来なかた。果実を見るチャンスはまだあるので、見続けたいと思っている。ここからは中丸休憩所へ戻らず。下の園道へ下りることにした。坂を下って行くと、崖に見えた下草は綺麗に刈られていて、何も見えなかったのが残念だった。


撮影:6月7日
  記  平成29年6月11日(日)
6月16日(金)
右側:オギ 左側:ヨシ オギ ヨシ オニシバリの赤い果実 シモツケ 

オカトラノオ 隅田の花火? ハエドクソウ ツリフネソウ ツリフネソウ

6月16日(金)

 湿原へ下り、木道を渡って行った。湿原なので、どちらも同じような植物が繁茂しているものと疑問すら感じていなかった。今日見ると、右側にはオギがあり、左側にはヨシがある。木道を挟み2分されているように見えた。「不思議だなぁ」と思い、よく見直したが、やはり2分されていた。ヨシ、オギの生育環境を調べると、ヨシの方が水気のある方に生育するというが、このでは右と左で水については大きな差はなさそうに見える。

 古民家の入り口へやって来た。門の前に植込みがあり、季節ごとにいろいろな花や果実が見えてくる。今日はオニシバリの赤い果実が見られることを期待していた。近づいてみると、真っ赤に染まった果実が沢山見えた。色が鮮やかなので、近くを通る人は大抵ここで足が止まる。花は緑色で、目立たないが、この果実は1度見たら誰でも強い印象を受ける

​  古民家の庭へ入ると、ピンクのシモツケの花が見えた。シモツケは自宅近くの公園にもあるが、今年は未だ花を見ていない。ここでの開花を見ると、恐らく咲いていることだろう。5花弁の小さな花だが、沢山の小花が1つの大きな塊になり咲くので、見事に見えてくる。  古民家の奥の花壇を見ると、オカトラノオが咲いていた。先日(6月2日)、三ツ池公園で見た時は、花序の先が出だしたところだった。こんなに早く花が咲き出すのだろうか。牧野新日本植物図鑑などには「オカトラノの花冠は5片に深く裂け・・・」とあるが、この花を見ると、5片に裂けているものと6片に裂けているものとが混在している。三ッ池公園のオカトラノオは6片に裂けていた。

 奥へ回るとアジサイが咲いていた。今、どこでもアジサイが青く、赤く色づいている。アジサイのシーズン到来と思える。先日、アジサイについて調べたら、花火のように見えるこのアジサイは「隅田の花火」という名前が付けられていた。アジサイの名前にもいろいろあるので、調べ始めると面白い。

 沼の脇の暗いところへ入ると、ハエドクソウが見えてきた。よく見ると何本もある。薄暗いせいか、この写真を撮るのが難しい。昨年、何度も撮影したが、鮮明な写真が撮れなかった。今日は再挑戦になる。やはり焦点が合わせづらい。マクロで撮影して、確認してみると、上手く撮れていなかった

​  ハエドクソウの撮影を諦めて次へ移動した。木道の下にツリフネソウがある。木道の下を見ると、大きな葉をつけたツリフネソウが見えてきた。沼から流れ出る水路脇を見ると、このツリフネソウが続いているのが見える。これほど沢山あるとは、今まで気が付かなかった。このツリフネソウの上には、既に花期を終えたシャガがあるが、花が無くなってしまうと、何処にあるのか分からない。

撮影:6月7日
  記  平成29年6月11日(日)
6月17日(土)
キンミズヒキ ホトトギス 屋根の上に見えるヤマボウシ ヤマボウシ コモチマンネングサ

ヒトツバハギの花 ハタザオの花 先日、名前が分からなかった花 オカトラノオ ナツツバキの蕾か?

アカシデの果実

6月17日(土)

 裏庭を水路沿いに歩いていると、キンミズヒキの葉が大分大きくなってきていた。葉は奇数羽状複葉で、先端の葉が大きく、次が小さいという独特の形をしている。 黄色い花弁5枚の花を咲かせる。キンミズヒキの果実は、毛糸の編み笠をかぶっているように見え、面白い形をしている。初めてこの果実の姿を見た時、 「これは何だろう」と不思議に思ったことを今でも覚えている。
  資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-380.htmll

 同じところにホトトギスがあり、これも上へ伸びてきた。今、茎が真っ直ぐ上へ伸びているが、花がつく時には地面を這うようになってくる。花の重みでそうなるのか、不思議に思っている点である。
 古民家の庭へ戻ってきて、振り返って見ると、古民家の屋根の上に薄いピンク色の花が見えた。 ヤマボウシの花のように思えるが、定かでないので、近づいてみた。色から見ると、ハナミズキとも考えたが、今頃ハナミズキは咲いていないはずなので、不思議に思った。 その樹は古民家の裏側にあるので、入れるかどうか古民家の周りを見ると、細い路地があり、入ることが出来た。花弁(萼)の形を見ると、色は薄いピンクだがヤマボウシである。 ヤマボウシの花のイメージは白色である。薄いピンクのヤマボウシもあるのだろうかと調べてみると、資料にはベニバナヤマボウシが紹介されていた。
  資料:http://www.geocities.jp/kinomemocho/kiasobi_Cornus.htmll

 古民家を出て、水田の畦道を歩き始めていると、黄色い小さな花が咲いていた。この花は自宅近くにもよく咲いているコモチマンネングサである。この環境に咲くとは思えないのだが、念のため調べてみた。 資料によると、道ばたにふつうに生えるという。何かの拍子で、ここへ侵入してきたのかもしれない。
  資料:http://matsue-hana.com/hana/komotimannengusa.htmll

  薄い黄緑色の小さい花がかたまって咲いている。昨年1度見ているが、名前が浮かんでこない。調べてみると、6月19日に見たヒトツバハギだった。 色々な資料によると、葉は全縁と説明されているが、ごく浅い鋸歯がありそうに見える。縁は確かに波を打っている。花には花弁がなく、薄く、黄白色の萼弁が5枚、雄しべが5本であるようだ。 雌雄が別株だという。これは雄株になる。牧野新日本植物図鑑によると、「全体はハギに似ている・・・」ことからこの名前が付けられたと説明されている。 しかし、ハギに似ているとは思えない。葉がハギの葉の小葉に似ているという説もあるが、この説もすっきりしない。
  資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1825.htmll

 先日、園道を歩いていた時、毛深い草が崖際に一面に咲いており、灰緑色の葉は互生していた。その場で名前が分からず、そのままにしておいたことを思い出した。 その花の場所へ行くと、花が咲き出していた。花を見て、先程古民家の庭で見たオカトラノオであることが分かった。何遍も見ていた花だったが、花が咲くまで、名前を知ることが出来なかった。 「これがオカトラノオなのか」と、しみじみ思った。
  難問だと思っていた花の名前がオカトラノオが無事分かり、ホッとした。遅くなったので、帰りを急いだ。もみじ休憩所でナツツバキを見て、ばらのまる橋でアカシデを見て帰ってきた。 ナツツバキには花がなかった。もう散って仕舞ったのかもしれない。しかし、昨年は6月19日に花を見ている。アカシデには緑色の果実が苞葉の中に出来ていた。
撮影:6月7日
  記  平成29年6月11日(日)
6月30日(金)
ヤマハギ ヤマハギの花 クヌギ クヌギの果実 アカシデ

アカシデの果実 ハコネウツギの果実 ナツツバキの花と蕾 リョウブ リョウブの小花

リョウブの小花

6月30日(金)

 久し振りに雨が止み明るくなった。しかし西の空を見ると、雲が多く心もとない天気である。舞岡公園で、調べたいことが幾つかあったが、天気が不順のため、のびのびになっていたので、この梅雨の合間を縫って舞岡公園へ出かけた。

 地下鉄の駅から出ると、運よく何時ものバスが直ぐに来た。乗客は数人しかいなかった。また、終点まで行ったのは一人だけだった。

 ケヤキ休憩所からハギのあるところへ行った。すると、既にハギは花を咲かせていた。「いよいよハギを調べる時期が来たか」と昨年の記憶がよみがえってきた。ここのハギはヤマハギである。ヤマハギの特徴は、花序の枝が長いことである。また、花を見ると、ハギの花は旗弁、翼弁、竜骨弁がある蝶形花で、このうちの翼弁と竜骨弁の長さがほぼ同じになっている。

 直ぐ傍にクヌギの樹がある。クヌギの樹とクリの樹がよく似ている。いまでもよく間違える。葉の鋸歯の色が緑色ならクリで、褐色ならクヌギになるという。果実が出来始めているのではと、上の方を見ると、果実らしい淡黄色のものが見えてきた。果実に間違いないと思い、望遠写真を撮った。殻斗に線形の鱗片がらせん状にびっしりとついている。

 ばらのまるの橋の上からアカシデを見た。葉が沢山付き、果実の存在が分かり難くなっている。先日もそうだったが、花時より、数が少なくなっている。枝から下がっている苞葉を捲ってみると、中に緑色の果実が見えてきた。1枚の苞葉が1個の果実を包んでいる。果実の先には雌しべの痕跡が残されていた。

 ばらのまるの橋を渡ると、道はコナラの陰に隠れ、暫く薄暗くなる。この薄暗いところにキブシが緑色の果実を付けていた。更に進んで行くと、大きなハコネウツギの樹が道を覆うように出て来た。枝先を見ると、果実が出来ている。細長い円柱状の形をしたものが何本も見られる。

 ナツツバキの花はもう終わってしまったのではと思いながらもみじ休憩所へやって来た。藪よりの樹は、思っていた通り、花を終えていた。「やはり終わってしまったか」と思いながらも、前にある花壇のナツツバキを見た。すると、この樹には数個花が残っていた。更に、蕾もあるようだ。ナツツバキは近くの樹でも花期がずれているようだ。このずれの存在は、三ツ池公園でもあった。

 道を隔て所のリョウブを見た。今日はこの花が気になっていたので、天気が怪しいが、やって来た。樹の近くを見ると、沢山の花が落ちている。いまも、ポツリポツリと落ちてくる。写真を撮ろうと、枝を掴むと、ちょっとした刺激で花はぽろぽろ落ちる。こんなに落ちるので、花の写真が撮れるか気になったが、撮った写真を見ると、開花した花があれば、蕾もある。花弁は5枚、雄しべは10本、雌しべが1本見える。花柄は長く、萼とともに毛がある。

撮影:6月27日
  記  平成29年6月28日(水)