平成29年度                                                            舞岡公園の植物へ
3月1日(水)
クヌギの冬芽 アカシデ 細長くなった冬芽 アカシデ 形の変形した冬芽 アセビの花 ナツツバキの冬芽

リョウブの冬芽

3月1日(水)

 おおばな橋を渡り、ケヤキ広場へ戻ってきた。ここからばらのまる橋へ向かう途中に、クヌギとコナラの樹がある。この2つはよく似ているので、幹だけでは区別がつけられない。最近冬芽を見ると何とか区別できるようになった。ここへ来たら、クヌギの冬芽をよく見たいと思うのだが、低いところにないので思うようにいかない。望遠写真で判断すると、冬芽の芽鱗は灰褐色で、毛があるように見える。

 ばらのまるの橋の横にアカシデがある。この冬芽を見ると、細長くなった冬芽が現れ出し、変化が見えてきた。この細長くなった冬芽は雄花花序になる。他に変わってきたものはないかと見ていると、芽鱗から飛び出そうとしている冬芽が見つかった。この形をしたものは初めて見る。このまま抜け出した冬芽が伸びていき、細長い冬芽になるのだろうか。

 変わったアカシデの冬芽を考えながら橋を渡って進んだ。橋を渡った道の右側にアセビとヒイラギナンテンが植えられている。ヒイラギナンテンの黄色い花が葉の間から見えてくる。この花は前回に来たとき、咲き出したのを確認した。アセビを見ると、下の方に花が見つかった。「いよいよ咲き出したかぁ」と思った。白色の釣鐘のような可愛い花である。下を見ていないと、うっかり通り過ぎてしまうところだった。

 もみじ休憩所へ来たとき、注目して見るのはナツツバキとリョウブである。ナツツバキの冬芽は茶褐色の芽鱗から抜け出そうとしている。内側の白銀色の毛で覆われた芽鱗が太陽の光を反射し眩しい。リョウブは1枚の芽鱗が早く剥がれて、裸芽で過ごす期間が長いといわれるが、実際に見ていると、この1枚が中々剥がれそうで剥がれない。今見ている冬芽も中央に縦方向の切れ目ができ、そこから芽鱗が剥がれそうになっている。

撮影:2月26日
  記 平成29年2月26日(日)
3月2日(木)
水田へつながる道 ウグイスカグラの蕾 ウグイスカグラの花 ヤマコウバシの冬芽 タンポポ

タンポポ:総苞が反り返っていない オオイヌノフグリ キリの冬芽 ガマズミの冬芽

3月2日(木)

 ばらのまるの丘へ来ると、テーブルに食べ物を広げ、お昼を食べている家族がいた。長閑な春のお昼時である。大分暖かくなってきたので、「水田の畔にはいくらか草花が現れ始めたか」と期待しながら坂を下り始めた。

 この坂の途中にはピンクの可愛いウグイスカグラがある。花が小さいので、うっかりすると通り過ぎてしまう。気をつけながら下りて行くと、見つかった。蕾は目につくが、花がない。前回もそうだったが、沢山花が咲いていることがない。未だ、時期が早いのだろうか。

 この坂には、ウグイスカグラが2か所にあるのだが、下の方が分からなくなってしまっている。注意しながら見たが、今日も見つけられなかった。「花が咲くのを待たなければならないかなぁ」と思った。諦めて、次にいつも見るヤマコウバシのところへ行った。冬芽を見ると、濃い暗褐色でから明るい色へと変わってきた。膨らみが出て、先へ延びたと同時に基にも緑色の部分が現れてきた。

 水田が間近に見え、藪の入り口に黄色い花が見えてきた。タンポポと分かる。タンポポにもたくさんの種類があるので、見極めは難しい。この時期に見るタンポポは、夏頃見るものより幾分大きいので、外来種でないと思う。花茎が短いので、不安に思い、総苞の反り方を見た。すると、総苞は予想した通り、反り返っていなかった。外来種のセイヨウタンポポでないことは確かなようだ。

 直ぐ近くでオオイヌノフグリが咲いていた。黄色いタンポポが咲き、薄青く、大きく開いたオオイヌノフグリが咲く光景からは春の長閑さが伝わってくる。畦道へ出て見ると、まだ緑が少ない。水田の淵に背丈の低い白色のナズナが張り付くように咲いている。水田の畔道は未だ目覚めていないようだ。今日は日曜日なので、訪れている人が多い。

 キリの樹を見た。上空に灰褐色の大きな冬芽が見える。この光景を見ていると、薄紫色の大きな花が咲き誇った姿が浮かんでくる。しかし、1本が伐採された今年からはその姿は見られない。残されたもう1本も樹形が大きく変わってしまった。蕾は減ってしまったが、一生懸命花を咲かせようとしている樹を応援してやりたい。

 溝沿いを進むとガマズミの樹が垣根のようになっている。この樹を見て冬芽のつきが悪いのに驚いた。ポツリポツリと数えるぐらいしか冬芽が見られない。「まだこれから現れるのか」と思って、よく見たが、その気配は感じられなかった。ここは日が良く当たり、条件は恵まれていると思うのだが、何が原因なのだろうか。

撮影:2月26日
  記 平成29年2月27日(月)
3月3日(火)
サンシュユ ソシンロウバイ ブンゴウメ ネムノキの冬芽 ミズキの冬芽

マユミの冬芽 マンサク

3月3日(金)

 ガマズミの冬芽を探していると、ガマズミの枝を通して黄色い花が目に入って来た。見た瞬間、此れはサンシュユではないかと思った。写真撮影し確認すると間違いなかった。ここのガマズミはよく見に来たが、後ろのサンシュユの存在には気が付かなかった。

 ネムノキ休憩所へ行くと、先着の人が2人いて、スマートホンなどを見ながら話をしていた。若しかしたら前回見た2人ずれかもしれない。ここで少し休憩をしていると、時々賑やかな子供の声が聞こえて、前を通り過ぎて行った。休憩後、園道に上がり、炭焼き小屋へ向かった。ここの入り口に昔の古井戸がある。細い道を入ると、左手にソシンロウバイが咲いていた。前回から見ると、色が薄く萎れているように見えたが、よく見るとそうではなく、まだ蕾があるので、次から次へと咲いてきたことが分かった。ソシンロウバイの花期が短いと思っていたのは間違いで、意外に長いように思えてきた。

 さらに奥へ進むと、ウメが見えた。ここの細い道へ入るようになったのは最近のことなどで、ここのウメの記憶は残っていない。ウメを見ると、萼の赤みが強いので、豊後系ということが分かる。今日は、この後、瓜久保休憩所のウメを調べようと思っている。

 ネムノキ休憩所へ戻り、ネムノキの冬芽を見た。この冬芽は何度も見ているが、小さく、どこにあるのかよく分からないままである。ネムノキの冬芽は、隠芽と言われ、葉痕内に隠されている。葉痕内を見ると、3つに割れ始め、中に茶褐色になった冬芽らしきものの姿が見え始めている。

 再び水田の畦道へ出ると、直ぐに暗赤色の冬芽が目に入った。樹の背丈は低いが、イイギリと思う。今日、イイギリの冬芽はエノキ広場で見てきた。その時は高いところだったので、大きさを知ることが出来なかったが、ここでは計測が出来た。長さ1.2㎝、幅0.5㎝と意外と小さかった。

 ここの畦道にはネムノキ、ハンノキ、マユミ、ウツギ、コムラサキなどが出てくる。対生している緑色の冬芽を見た。この樹はマユミになる。つい先日までピンク色の果実が吊下っていたような気がする。枝を見ると、稜があり、断面は四角形になると思われる。

 一段高いところに赤褐色になったマンサクが見える。遠くから見ると、色が薄いので、何の花だか分かりにくい。花弁が短い矩形をしており、花の感じがしない珍しい花である。

撮影:2月26日
  記 平成29年2月27日(月)
3月4日(土)
サンシュユ サンシュユの花 コウバイ ハクバイ ブンゴウメ

ソシンロウバイ ソシンロウバイの花 ウグイスカグラ フクジュソウ フクジュソウ

3月4日(土)

 畦道を進んで行くと、園道の近くに黄色い花が見えた。先程、ばらのまるの丘から水田へ出たときに見たサンシュユではないかと思った。園道へ上がり、確認した。やはり間違いなくサンシュユであった。今日は2か所でサンシュユを見たことになる。何度も舞岡公園へ来ているが、この2つについては今まで気づいていなかった。サンシュユの花が開くと、4枚の花弁が反り返るようになる。

 古民家の庭へ入ると、何かイベントがあったらしく、多くの人が集まっていた。子供達もたくさんいて、いつも静かな庭が賑わっている。ここの庭に3本のウメの樹がある。左からコウバイ、ブンゴウメ、ハクバイと並んでいる。3種類のウメの樹はそれぞれ花を咲かせる時期がばらばらで、滑稽である。コウバイは八重で、既に花数が少なくなっている。ハクバイは蕾が多く、咲き始めてそれほど日にちが経っていない。中央のブンゴウメは極僅か数輪の花があるだけで、ほとんど蕾である。

 奥の植込みにソシンロウバイがある。先程、炭焼き小屋へ通じる道で見て来たので、ここでも咲いていると思った。奥へ入っていくと、思った通り黄色い花が沢山咲いていた。ソシンロウバイは色が薄いので、枯れているように見えてしまう。

 古民家の裏へまわると、ウグイスカグラが2本ある。花はポツリポツリ咲くようで、まだほとんどが蕾である。

 沼を挟み向こう側にフクジュソウがある。フクジュソウは短期間に芽を出し、花をつける。先日と比べると随分大株になっている。ポツリポツリであった花数も大分増えてきた。

  
撮影:2月26日
  記  2平成29年2月28日(火)
3月5日(日)
マルバマンサク? マンサク マンサク キズイセン ミツマタ

3月5日(日)

 古民家の裏庭には、赤色と黄色い2種類のマンサクの樹がある。今までマンサクについて深く考えてこなかったが、「この2種類が同じものなのか、別物なのか」と考えるようになった。「マンサク」で検索すると、殆どが「花は黄色い」と説明されている。しかし、よく見かけるマンサクの花弁は赤褐色で、黄色の花弁を見かける機会は少ない。

牧野さんの新日本植物図鑑によると

 マンサク・・・「春に、葉より先に開花し、黄色で・・・」

 マルバマンサク・・・「・・・花弁は赤色または紫黄色を帯び・・・」

寺崎さんの日本植物図譜によると

 マンサク・・・2~4月頃葉の出る前に黄色い花を開く

 マルバマンサク・・・3~4月頃葉より先に赤黄色で、基部は濃紅色・・・の花を開く

保育社の原色日本側物図鑑によると

 マンサク・・・「花弁は・・・・黄色・・・」

 マルバマンサク・・・「花は黄色。花弁が赤くなるものをアカバマンサク、基部だけ赤色を帯びるのをニシキマンサク」

 以上のことから考えると、見る機会が少ない黄色いマンサクが本当のマンサクになり、よく見かける赤褐色のマンサクはマルバマンサクか、他のマンサクになるようだ。他の資料を見ると、マンサクには園芸品種が多く、在来のマンサクは少なくなっているらしい。

 小さな沼を見ると、この時期は水が殆ど干しあがっている。沼の縁にキズイセンが1本だけ咲いていた。たった1本だけなので葉の緑と花の黄色が綺麗に映えて見える

 沼の周りには、先程見たフクジュソウと今見たキズイセンを覗けば花らしいものは見当たらない。ここを後にして、ミツマタを見に向かった。ミツマタの小花がいくつか咲いている。白色の毛に覆われた円筒の先の黄色い花が際立っている。

  
撮影:2月26日
  記 平成29年2月28日(火)
3月6日(月)
クサギ オニシバリ オニシバリの花 ウツギの冬芽 ウツギの冬芽

ハコネウツギの冬芽 ハコネウツギの冬芽 松原越休憩所 イヌシデの冬芽 エゴノキの冬芽

オニグルミの冬芽 オニグルミの冬芽

3月6日(月)

 ミツマタの先にクサギがあるが、花や葉がない時はこの樹がクサギだとは知ることが難しい。「木肌は灰色で、暗灰色をした粒状の皮目が縦方向に波を打つように流れている」ことについては、先日記載している。「葉痕が大きく、冬芽は裸芽で紫色を帯びている」と説明する資料が多い。葉痕の大きい点、裸芽であることは確認できるが、現段階では紫色を帯びていることが確認できない。そのうち色がはっきりしてくるのではないかと思われる。

 資料: https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2039.html

 1月11日に蕾を確認したオニシバリのところへ行くと、花が咲いていた黄緑色をした円筒型の花であることは以前確認しているが、再度確認した。オニシバリはジンチョウゲと同じ仲間であるという。そう言われれば花のつくりがよく似ている。花弁に見えるのは、萼になることになる。先が4つに割れた萼は厚めで、外側へ反り曲がっている。

 水車小屋の近くで、ウツギの冬芽を見た。冬芽は、枝に対生に付き、茶褐色の芽鱗に包まれている。少し動きがあるのではと期待していたが、未だ前回とほとんど変わっていなかった。

 上の園道に出て、ハコネウツギを見た。最初に、この樹の存在に気が付いたのは真冬だった。真冬でもこの樹は枯れた大柄な花を残していたので、目が惹きつけられた。冬芽は、近くにあるウツギに似ている。しかし、ハコネウツギはスイカズラ科タニウツギ属で、ウツギはアジサイ科ウツギ属と別物である。ウツギ(空木)という名前がつくので、茎は中空なのだろうか、まで確認はしていない。

 園道の右側に大きなエノキの樹が見える。今は葉をつけていないが、それでも大きい、ここを過ぎると、左側に小高い丘があり、その上は松原越休憩所になっている。この休憩所にはイヌシデやエゴノキがある。その中のイヌシデを見た。先程、アカシデの雄花の花序を見て来たので、イヌシデにも同様な変化が見られることを想像していた。冬芽を見ると、予想した通りの変化が現れていた。細長くなっただけでなく、芽鱗に緑色の部分が見えてきた。

 直ぐ近くにエゴノキがある。エゴノキの冬芽は色々な所で見てきている。裸芽で、表面は星状毛で覆われていることは既に知っている。他に何か分かることはないだろうかと、よく見直したが、主芽が副芽を背負っている以外は見つけられなかった。

 この後、狐休憩所へ行き、オニグルミの冬芽を見た。オニグルミの冬芽は裸芽と言われる。裸芽は、外側に芽鱗はないことになる。ところが写真を見ると、外側の皮が剥がれようとしていて、芽鱗があるように見える。調べると、この外側の皮は葉芽であり、剥がれやすいとの説明がった。

  
撮影:2月26日
  記 平成29年3月2日(木)
3月7日(火)
トイレ前 アンズ?の冬芽 ブンゴウメ 薄いピンクのウメ(ブンゴウメ?) ハクバイ

リョクガクバイ ピンクのシダレウメ ピンクのシダレウメ リョクガクシダレ リョクガクバイとピンクのシダレウメ

瓜久保休憩所の周りのウメの樹

3月7日(火)

 瓜久保休憩所へ入った、瓜久保休憩所の周りにはウメの樹が集中的に植えらえており、今の時期は明るい休憩所になっている。手前のウメの樹に花が見えないが、奥の樹には花が沢山咲いているのが分かる。

 トイレの前のウメの樹だけが冬芽の状態である。このウメの樹はアンズと思うが、確信がない。2月8日に冬芽を確認したが、それからほとんど変化がないようだ。後日、ハナモモと確認した。

 このウメは萼が赤いので、花弁が一層純白に見える。萼が反り返っているので、アンズと思えるが、この樹はブンゴウメと思う。

 ブンゴウメから反時計回りにまわって行くと、薄いピンクのウメ、ハクバイ、薄いピンクのウメ、リョクバクバイ、薄いピンクのウメ、リョクバクバイ、ピンクのシダレウメと並んでいる。そして、休憩所と縁台の間にリョクガクシダレがある。

 何とか分布だけは押さえたが、それぞれがどんな名前のウメかは未解決のままである。

撮影:2月26日
  記  平成29年3月2日(木)
3月8日(水)
マンサク マンサク 左2本:コウバイ 右2本:ハクバイ コウバイ コウバイ

ハクバイ 入り口のブンゴウメ 入り口のブンゴウメ 広場のハクバイ 広場のハクバイ

ソシンロウバイ オニシバリ

3月8日(水)

  瓜久保休憩所の周りのウメを見て、カッパ池へ向かった。この坂道の左側にマンサクがあり、ニシキギがある。ここのマンサクは赤褐色の花を咲かせている。また、以前撮影した葉を見ると、丸みを帯びていることが分かる。恐らくマルバマンサクになると思う。

 カッパ池の広場側にウメの樹が何本かある。どんな花をつけるか、記録していなかったので、見守ってきた。今見ると、奥からコウバイ、コウバイ、ハクバイ、ハクバイと並んでいる。しかし、どのウメの樹を見ても勢いがない。湿地帯の脇なので、水分が多すぎるのだろうか。

 広場に入り、入り口のブンゴウメを見ると、僅かに花が咲き始めていた。ここは、日陰の時が多いせいか、花の開花が遅くなるのだろうか。それとも、ブンゴウメは一般的に他のウメよりも遅く咲くのだろうか。下の休憩所の周りのブンゴウメも他のウメよりも開花遅いようだった。

 広場へ入ると、コウバイ、ハクバイを見ることが出来る。しかし両方が同時に満開になる姿は見られない。今、コウバイは花を終えようとしていたが、ハクバイはこれから満開を迎えようしている。ここではコウバイが先に咲くようだ。

 池の周りをひと回りし、ソシンロウバのところへ向かった。古民家の庭などでは未だ生き生きと咲く姿が見られたが、ここのソシンロウバイは、花期の峠を越えたようで、勢いや瑞々しさがなくなっている。

 瓜久保休憩所を出て、バス停へ向かうと、藪の縁に1株だけ刈り残されたものがあった。見ると、先程見て来たオニシバリだった。オニシバリは珍しそうな花だと思っているが、探すと意外と見つかるものなのだろうか。

  
撮影:2月26日
  記  平成29年3月5日(水)
3月25日(土)
ミツバツツジ ミツバツツジ:葉が3枚出ている ミツバツツジ:冬芽 ミツバツツジ:冬芽 ミツバツツジ:花が終わった跡か?

ミツバツツジ:元の3出葉へ戻ってしまった ミツバツツジ:再び見る冬芽 ミツバツツジ:紫色が見えてきた冬芽

3月25日(土)

 舞岡公園の瓜久保休憩所からカッパ池へ向かい、左手のモミジのトンネルを抜けたところに、名の分からない低木の樹がある。この樹に気が付いたのは、平成27年11月26日のことであった。この時は、ひし形をした葉が3枚出ていることが印象に残った。

 それ以後、ここに来る度にこの3枚の葉を見ては、何の樹だろうかと考えるようになった。葉の形からすると、クサギ、アカメガシワなどを考えた。しかし、これらは単葉であって、3出葉にはなっていない。

 28年3月15になって冬芽が付いているのを見た。冬芽は薄い褐色の中に、薄い紫色が入った何枚かの芽鱗に包まれていた。意外と薄い色をした綺麗な冬芽と印象が残っている。この冬芽からどんな蕾が出て、どんな花を咲かせるか期待をしていた。

 平成28年4月25日に行くと、冬芽の姿はなく、様子が一変していた。冬芽だったと思われるものは開き切って、そこからは既に3枚の葉が出て大きくなっていた。花の咲いた形跡はなかった。「今まで見ていた冬芽は葉芽だったのだろうか」と思った。でも、あれだけ冬芽があったのだから、どこかに花の形跡があっても可笑しくはないと思って、探してみたが、見つからなかった。

 花は終えてしまったのではないかと、暫く、この樹から気持が遠ざかってしまった。平成28年7月28日に気持ちが変わり、訪れてみた。すると、平成27年11月26日似見た時と同じ状態に戻ってしまっていた。何の手掛かりもなく、1年が経ってしまうのかと思った。

 平成28年7月28日に訪れると、新しい冬芽を見た。同じ樹なのだから、同じ形になるのは当然だが、黄緑色をしていて、以前見た冬芽をほぼ同じようだった。

 平成29年2月8日には、葉が落ち冬芽だけが残された。冬芽は昨年の3月に見たものとほぼ同じで、薄い褐色の中に、薄い紫色が入った何枚かの芽鱗に包まれている。振出しに戻った思いを深く感じた。今年こそは花を見なければとの強い思いも生まれた。

 それにしてもこの樹の名前が依然として分からない。日にちを置き、何度も考えてみた。そのうち、「ミツバツツジではないだろうか」と思いついた。ミツバツツジは、春紫色の花をつける。別の場所で写真を撮っていたので、見ると、葉が出る前に花が咲いている。平成28年4月25日に見た時は、既に花が終わっていたことになる。この樹が確かにミツバツツジであるだろうか、今年は花を確認したい。 
撮影:2月26日
  記  平成29年3月21日(火)
3月26日(日)
ムラサキハナナ(ショッカクサイ) タチツボスミレ ウグイスカグラ コブシ 花の下の大きな葉

花の下の小さな葉が2枚ある アワブキの冬芽 エゴノキの冬芽:緑色がかった

3月26日(日)

 東京でソメイヨシノの開花宣言がされたが、此方では先日の寒さで、開花が躊躇している状態である。昨日は暖かだったが、今日は日が陰っている。お昼ごろには暖かくなるのではと思って、暫く疎かにしていた舞岡公園へ出かけることにした。

 地下鉄を降り、外へ出ると、まだ日が陰っていた。バス停へ行くと、運よく直ぐバスは来た。今日のバスは舞岡台行で、何時もとは逆のコースを辿ることになった。バスを降りると、日が出て来た。日陰だとうまく写真が撮れないので、来てよかったと思った。

 公園に入り、小川に出ると、そこにはムラサキハナナ(ショッカクサイ)が幾つも咲いていた。舞岡公園もすっかり春になったと思った。ムラサキハナナ(ショッカクサイ)の近くにはタチツボスミレが咲いていた。「青紫色のこの花が咲く頃になったかぁ」と季節の移り変わりが実感してきた。

 坂を上り前田の丘へ向かった。ここの坂にはマユミやエゴノキがある。マユミには緑の葉が出てきていた。この公園内にはマユミの樹は沢山あるので、素通りをした。右へ曲がろうとすると、右の藪の中にウグイスカグラが咲いていた。薄いピンク色の花なので、見逃し勝ちである。以前にもここを通ったのだが、今までこのウグイスカグラの存在に気が付かなかった。

 前田の丘に出た時、目に映ってきたのは左奥にあるコブシの花である。蕾は未だ沢山あるが、早く咲いたものは既に散り出している。「コブシの花の下には葉がある」というので確認した。はっきりはと分かる大きな葉をつけている花もあるが、多くはよく見ないと分からない小さな葉である。

 直ぐ近くにあるアワブキに何か変化が現れて来たか見た。見たところ沢山の毛で覆われた冬芽はそのままで、大きな変化はないようだった。確認のために2月8日に撮影したものと比べてみたが、やはりほとんど変わりがなかった。

 エゴノキの冬芽を見た。エゴノキの冬芽もアワブキと同じように沢山の毛で覆われている。褐色の小さなものだったが、少し大きくなり、心持ち緑色がかってきたように見受けられる。

撮影:3月23日
  記 平成29年3月23日(木)
3月27日(月)
ヤマボウシの花芽 ヤマボウシの葉芽 ヤマボウシの開き始めた頂芽 キブシ キブシの花序

キブシの小花 花を終えたソシンロウバイ ソシンロウバイの果実か? キランソウ キランソウの小花

3月27日(月)

 前田の丘には何本ものヤマボウシがある。このヤマボウシを見ると、遠目には花芽と葉芽の違いが分かりにくい。近くに寄ってみると、花芽は葉芽より膨らんでいることが分かる。極僅かの違いなので、注意して見ないと分かりにくい。冬芽を見ていると、頂芽で先が開いているものがあった。この形から見て、花芽であると思われる。ヤマボウシに似たものにハナミズキがある。かなり前に、このハナミズキでこのヤマボウシの花芽と同じ状態のものを見たことがあるが、未だに花になっていない。このヤマボウシの頂芽もすぐ咲きそうに思えるが、恐らくこのまま長い間開花しないと思われる。

 ここにあるサクラはオオシマザクらと思う。そろそろ開花に近いのではと、冬芽を見たが、緑色で大きくなってはいるが、開花には未だ日数がかかるようだった。広場から道へ出ると、キブシが目に入ってきた。黄緑色の紐のようなキブシの花序を見ると、1つの春の新鮮な景色が現れたと感じる。近づいてみると、樹の下には既に沢山の花序が落ちている。「どうしたのだろうか」と思った。野鳥が食べ落としたのだろうか。落ちていた花序を拾って、1つの小花を覗いてみた。4枚のバナビラと大きな雌しべを中心に8本ぐらいの雄しべが見える。

 コナラ、クヌギの繁る山を越えカッパ池へ出た。ソシンロウバイの花は既に終わっている。垣根の下の緑を見ると、そこに濃い紫色をした小さな花が地面を這うように咲いていた。落ち葉を払いのけ見ると、キランソウであった。春に日陰で見る野草である。この花は唇形花で、上唇は小さく浅く2裂し、下唇は3裂し、中央が大きく、先が浅く3裂している。なかなか面白い形をしている。

撮影:3月23日
  記 平成29年3月23日(木)
3月28日(火)
ヤマグワの冬芽 ヨシの芽生え ミツバツツジ(まだ確定していない)の冬芽 ミツバツツジ(まだ確定していない)の冬芽 ミツバツツジ(まだ確定していない)の冬芽:中に紫色のものが見える

ブンゴウメ ブンゴウメ ブンゴウメ コブシの蕾 サワグルミの冬芽

サワグルミの冬芽

3月28日(火)

  池の縁のヤマグワを見ると、冬芽が緑色になって来たことが分かる。この冬芽は丸みを帯びていたが、今は芽鱗を突き破り、中の芽が出て来た。暖かくなったせいで急に動き出したようだ。これからどのようになっていくか見つめていきたい。

 カッパ池の中を見ると、2か所に緑が見えてきた。この緑は言うまでもなく、ヨシである。既に、細長い葉が30㎝ぐらい伸びているように見える。

 中々解決できなかったミツバツツジ(まだ確定していない)のところへやってきた。未だ葉がなく、手掛かりは冬芽だけである。幾つかの冬芽を見ていくと、内側に明確に紫色をしたものが見える冬芽があった。まず、この冬芽はミツバツツジに間違いないと思われる。

 奥の広場に入り、ブンゴウメを見ると、満開を過ぎ、散り始めていた。もう少し前に来なければと思っていたのが、当たってしまった。だけど、花は見ることが出来る。花の赤い萼は反り返っている。ここが普通のウメと違うところである。萼や蕾が赤いせいか、白色の花弁が幾分赤く染まって見える。これは錯覚だろう。

 この広場の入り口に大きなコブシの樹があるが、花が少ない。花は終わりなのかと見ると、樹にはまだ蕾が結構ついている。しかし下を見ると、かなりの蕾が開花しないまま落ちてしまっている。何が原因なのだろうか。

 カッパ池を一巡してサワグルミのところへ来た。サワグルミの冬芽は高いところにある。太陽の位置加減で、上手く撮影できるか迷った。色々な角度からっ撮影を試みたが、全体が暗く、鮮明な写真が撮れなかった。資料1によると、この冬芽は裸芽というが、何度見ても、外側に皮があるように見えて仕方がない。資料2によると、芽鱗は早く落ちて、裸芽で冬を越すとある。本当はどちらなのだろうか。

 資料1: http://www9.wind.ne.jp/matu-ko/huyume1-frame.htm
              
 資料2:  http://www.jugemusha.com/jumoku-zz-sawagurumi.htm

撮影:3月23日

 
 記 平成29年3月23日(木)
3月29日(水)
ヒメオドリコソウ ヒメオドリコソウの花 カントウタンポポの小群落 総苞が外側に反っていない オニグルミの冬芽

3月29日(水)

 園道に出て、次の目的地の狐久保を目指した。園道の左側は農園になっている。その脇を見ると、ピンク色の小さい花が咲いていた。ヒメオドリコソウである。暖かくなると、この花が土手一面に咲く景色も見られる。ヒメオドリコソウを見ていると、ヒメオドリコソウを囲むようにスズメノカタビラが群がっていた。スズメノカタビラは随分背丈が高くなってきている。正に春たけなわの草原である。

 ヒメオドリコソウは唇状花で、上唇は垂直に立ち、背面に白色の毛が密生している。下唇は横壁を作り、前へ伸び、先は掌を開くように開いている。多くの資料は、この形を下唇は3つに分かれているとみているようだ。

 農道に入り、狐久保を目指すと、右側の土手にタンポポが小さな群落をなすように咲いていた。今、ここに咲くタンポポは在来のタンポポで、カントウタンポポではないかと思う。試しに総苞を見ると、外側に反っていなかった。

 狐久保で見るのはオニグルミの冬芽である。高いところの冬芽を見て、日が当たっていそうなのを選んで撮影した。頂芽は皮を被っているような姿が撮影できた。側芽には小さな粒が沢山付いているのが見える。殆どの資料でオニグルミの冬芽は裸芽と説明しているが、頂芽を見ると、皮(芽鱗か?)が付いているように見えて仕方がない。

撮影:3月23日
  記  平成29年3月27日(月)
3月30日(木)
カラスザンショウの冬芽 イヌシデの冬芽 虫こぶ ムラサキケマン ムラサキケマンの距が見える

ムラサキケマンの小花 ホトケノザの一群 ホトケノザ トウダイグサ トウダイグサの小花

3月30日(木)

 久し振りに中丸休憩所へ出て、オオシマザクラを見た。そろそろ咲き出すのではと思って見たが、舞岡公園のサクラは町中より幾分開花が遅れているようだった。ここから、松原越休憩所へ向かった。ここの入口に大きなカラスザンショウの樹がある。幹に棘があるので、「最初エンジュやハリギリの樹なのか」と思っていたが、その後いろいろ調べると、カラスザンショウの樹となった。冬芽は、棘の多い幹に張り付くように付いている。葉痕の上にあり、半球状をした黒っぽい暗い色をしている。

 ここの休憩所にはコナラ、ヒノキ、エゴノキ、イヌシデ、ヤマグワなどの樹があるが、イヌシデの冬芽の様子を見た。冬芽には大きいものと小さいものとがある。大きくなってきたものは雄花の花序になると思うが、正確にはまだ分からない。冬芽を見ていると、枝のところどころに緑色の大きな塊がある。最初この塊を見た時「一体これは何だろうか」と思って見たが、虫こぶと分かった。

 松原越休憩所から園道へ出るために、階段を下り始めると、ササ藪の縁に紫色の花が見えた。この花を見て、「ムラサキケマン」とすぐに分かった。「こんなに早く咲くのか」と思いながらこの花を見ていた。この花について詳しく見たことがなかったので、調べてみた。

 花には距があり、上下2枚の花弁があり、その内側に、左右方向に2枚の花弁がある。内側の2枚の花弁の先は閉じている。つまり花弁は全部で4枚ある。

 園道へ出ると水田が広がっている。その水田が一面に赤紫色になっていた。あの赤紫色のものは何だろうか。若しかしたらレンゲかもしれないと思い、カメラを向けてみた。写ってきたものはホトケノザであった。「ホトケノザもこのような一群をつくるのか」と改めて見直した。

 畔の縁にトウダイグサが見つかった。この花についてはまだよく調べていない。いろいろ調べていくと、資料では詳しい説明があった。トウダイグサの花と思えるもの覗くと、中に4つの小花が見える。この小花には雌期があって、その後に雄期がやってくるという面白い花である。中央の小花を見ると、黄色い花粉が見られ、球状の大きな子房が外へ出ている。この小花は雄期に入っている。他の3つの小花を見ると、花粉は見えず。子房の先に雌しべがあり、先が3つに分かれている。従ってこの小花は雌期にある。

  資料: http://kobehana.at.webry.info/201603/article_15.html

撮影:3月23日
  記  平成29年3月28日(火)
3月31日(金)
葉と花芽が出たマユミ マユミの花芽 コムラサキの冬芽 ウツギの冬芽 ウツギの新葉

ハンノキの冬芽 水田風景 ミズキ? ミズキ?の冬芽

3月31日(金)

  水車小屋の脇のマユミを見た。ここまで来る間にもマユミの樹は何本も見てきたが、ここでよく見られるということで、写真を撮ってこなかった。 ここまで来る間に見たマユミの樹には葉が出始めていた。ここのマユミを見ると、葉が随分出ているだけでなく、小さな粒状の花芽も出ている。何か葉が出ると同時に花芽も出たように見える。マユミは活発に動き出したことが分かってきた

 すぐ下にコムラサキがある。昨年この樹を見ていた時、長い間冬芽が大きくならず、枯れてしまったのではないかと思った。それが、随分遅れて緑色の色がつき、生きていたことが強く印象に残っている。今の冬芽を計測すると、長さが2㎜、幅が1㎜である。冬芽はやはり小さい。

 コムラサキに付くようにウツギの樹がある。見ると、もう新葉が出ている。冬芽が対生であったので、新葉も対生になっている。新葉の表は明るい緑色で、裏は灰緑色になっており、両面に毛が密生している。葉の縁、鋸歯、裏側から見る葉脈が赤褐色になっているのが目を惹く。

 ここからの畦道にはハンノキが次々と出てくる。昨年の暮れからここのハンノキを見てきたが、今年は雄花、雌花が両方とも咲かなかった。何が原因だったのか調べてみたい。冬芽を見ると、黄緑色がかってきた。この冬芽は裸芽なので、葉の感じが分かり、葉脈も推測できる。

 水田に目を移すと、土が耕されている。昨年残された切株や、芽生えた新芽はどこに行ったのか分からなくなっている。ここに肥料が施され、今年の水田作業が始まるようだ。この光景を見ると、稲作が随分近づいた気がしてきた。

 この赤みを帯びた樹の花や葉を未だ見ていないので、若しかしたら違うかもしれないが、冬芽の様子から見てミズキと見ている。今年は、花は分からないが、葉は見られることと思う。昨年は、確認しようと思っていて、確認しなかった。

撮影:3月23日
  記  平成29年3月28日(火)