平成29年度                                                            舞岡公園の植物へ
5月10日(水)
コゴメウツギ コゴメウツギの花 アカシデ アカシデ:果実が見える キブシの果実

コヤブタバコ ナツツバキの蕾 リョウブの花芽? 沿道を埋めるウマノミツバ ウマノミツバの葉

5月10日(水)

 5月に入り、沢山の花が咲き出したので、見るのが忙しくなってきた。今日は暖かく、夏のような天気になった。舞岡公園のキリの花が気になっていたので、出かけてみた。今日は、京急ニュウタウン行きのバスが来た。

 ケヤキ広場から入り、階段を上り始めるところにコゴメウツギがある。そろそろ花が咲くだろうと思っていたが、未だ、ほとんど蕾の状況だった。それでもよく見ていくと、いくつか花が咲いていた。早速撮影すると、毎年、何度撮影しても、焦点が合わないのが常だったのに、今日はうまく焦点があった。コゴメウツギは総状花序で、1つの花は薄い円錐状で、白色の萼が5枚、花弁が5枚ある。花をよく見ると、米粒形の花弁が上にあり、花弁より短いが、幅の広い萼が下なっている。花弁が落ちても、萼は後まで残るのという。花弁の散った後、萼は5枚の花弁のように見えるようになる。以前、花弁が5枚しかないコゴメウツギを見て、吃驚したことが思い出される。

 ばらの丸の橋の上で、いつも見るアカシデを見た。沢山の葉をつけ、重そうに枝が垂れ下がた姿になっている。花期が過ぎたので、果実が見えるだろうかと探すと、なかなか見つからなかった。しかし、よく見ていくと、果苞の奥に薄い黄緑色のものが1対見えた。これが果実になるようだ。果苞が3つに分かれているのがアカシデで、イヌシデの果苞は 分かれないという。


 参照:https://01hana.blog.fc2.com/blog-date-20160629.html 

 ばらの丸の橋を越えたところのキブシにも緑色の果実が出来ている。何気なく、葉影に隠れている果実だが、写真に撮って、拡大して見ると、実に綺麗に映る。キブシの果実も捨てたものではない。

 もみじ休憩所へ入ったところにナツツバキの樹がある。その陰に、大きな葉をしたコヤブタバコの芽生えが目立て来た。最初に、この花を見た時、何という名前か分からなかったが、「ヤブタバコでは」と思いながら調べると、コヤブタバコと分かってきた。

 参照:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1913.html 

 ナツツバキは大分姿を変えてきた。葉の間から柔らかそうな柄を出し、その先に球状の蕾が付いている。上の方は白色っぽくなっているので、花弁かもしれない。柔らかい葉の表面には白色の粒々が無数に見え、葉の端には長い白毛が見える。

 リョウブも花芽(花序の芽)が出始め、様子が変わってきた。先が赤い筒のようなものが伸びてきている。この筒のようなものの表面には緑色の芽鱗のようなものが沢山ある。これから先どのような変化を遂げるか見続けたい

​  道の藪側に3つ葉をつけたものがこの前から増え始めてきた。最初は何も気に留めなかったが、今日は何だろうかと思うようになった。歩きながら昨年のことを思い出すと、ウマノミツバの名前が浮かんできた。「何でこんな名前がついたのだろうか」と思い、いろいろ調べると、「この三つ葉は、食用とならず、馬に食べさせる程度」といった意味で名付けられたという(牧野新日本植物図鑑)。

撮影:5月5日
   記  平成29年5月7日(日)
5月11日(木))
ヤマハタザオ ヤマハタザオ:茎に毛がある 下から見たヤマコウバシ(中央右側) トウバナ:日陰 トウバナ:日陰

トウバナ:日向 土を掘り起こした水田 ヘビイチゴの果実とオオジシバリ ニガナ

5月11日(木)

 ここからか坂道を下って行くと、水田へ出る。水田へ出たところには、今日見ようとしているキリの樹がある。期待しながら下りて行った。

 右側の藪にウグイスカグラの赤い果実が僅かに残っていた。この果実の美しさを思い出しながら進むと、左側の足元に白色の小さな花が見えた。1度見たような気がするが、思い出せない。若しかしたら、「ハタザオでないか」と思いながら、確信が持てなかった。葉や花の大きさを計測しなかったのは失敗だが、後で調べると、葉や茎の毛の様子、葉のつき方を調べると、ハタザオには毛がないので、ヤマハタザオと分かってきた。

 坂道は葉で覆われ、下の方が見にくくなってきた。今年何とか花を確認したヤマコウバシが見えて来た。「膨らんだ子房から伸びた雌しべ、黄緑色の花弁、黄色い葯は見える。雄しべや花弁の様子はよくつかめない」と4月20日に記録に残したことが思い出される。


 参照:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2224.html

 水田を目の前にして、青紫色の小花が密集しているものが見えた。1株や2株でなく、小さい株がたむろしているようだ。小さいがよく見ると、見覚えのある花のようである。名前が浮かんでこない。ヒメジソ、イヌトウバナ、イコウジュは、名前が似ていると同時に花も似ている。シソ科のこの仲間についてまだよく理解していない。昨年も悩んだが、今年も同じ時期が来たのかと思った。資料を参考に調べていくと、この花は萼の毛が短いので、トウバナになるようだ。水田の畦道を歩いていると、この花にそっくりだが全体が薄赤くなっているものが見つかった。どう見ても色が違うというだけで、同じものと思える。片方が日陰にあり、もう一方は日向にある。育つ環境により色が変わるのではないだろうか。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1898.html

 水田は土が掘り起こされ、田植えの準備が進んでいる。農村ではこのような作業が続いているが、町の中にいると、季節を意識する感覚がなくなってしまう。土が掘り起こされ、苗が育てられ、田植えが行われていく自然の流れを知ることは感性を育んでくれる。

 畦道を見ると、ヘビイチゴ、オオジシバリ、トキワハゼなどが、所狭しと犇いている。ヘビイチゴは果実を結び始めている。オオジシバリは枯れようとしている。知らず知らずのうちに初夏から夏へ動いていることが分かってくる。最近になって、漸くヘビイチゴとヤブヘビイチゴの違いが分かるようになってきた。

 水田側にニガナがあった。花の感じはオニタビラコに似ているが、頭状花の花の数が6個と、オニタビラコより少ないので、違いが分かる。

撮影:5月5日
   記  平成29年5月8日(月)
5月12日(金)
ケキツネノボタン ケキツネノボタンの花 キュウリグサ(中央右側) キュウリグサ ゴウソ

ウツギ キリの樹 キリの蕾

5月12日(金)

 畦道に出ると、古民家では子供の日にちなんだ催しものがあったようで、新聞紙で折った冑を被った子供たちが歩いてきた。竹笛を鳴らしている子供もいる。楽しさが伝わってくる。

 畦道の草花を見ると、大分種類が増えふえている。黄色いこの花はケキツネノボタンである。キツネノボタンを探しているが、葉や茎を見ると、何時も毛が沢山あるものばかりである。この花の葉や茎にも毛がある。

 まわりが青色で、中心が黄色くなったキュウリグサがある。大分前からこの花を見かけている。この花はぽつんとあるのではなく、大抵株をつくっている。花弁が5枚、茎は褐色、茎や葉に伏せた毛が沢山ある。中心の黄色い部分は副花冠と呼んでいる。

 イグサが見え、その草むらの中にゴウソが見える。ゴウソには雌小穂と雄小穂があるという。写真は雌小穂になる。小花が縦方向にきちんと並んでいる。この写真では3列が見える。

 伸びた枝先に丸い蕾が沢山付いたウツギを見て、成長の早さに驚いた。この樹を見た時、一瞬、何の樹だろうかと思った。ここには、ウツギとスイカズラしかない。スイカズラはつる性であるので、この樹は間違いなくウツギになる。このウツギが満開になった光景を見るのを何時も逸している。今年は逃がしたくない

​  畔の草花を見ているうちにすっかりキリの樹のことを忘れていた。キリの樹へ戻ると、葉は見えるが、花は見えない。蕾も少なく、精彩がなかった。2本あったうち1本が伐採されてしまったので、残された樹も弱ってしまったのだろうか。諦諦めて写真だけ撮って、帰って見直したところ、蕾の幾つかに形の変わったものがあったので、拡大してみた。すると、花弁が見え始めていた。これは1週間以内に咲くのではないかと思われた。それにしても、数年前の光景は夢物語のようだ。

撮影:5月5日
   記  平成29年5月8日(月)
5月13日(土)
ノアザミ ガマズミ ツルカノコソウ クロバナロウバイ ニシキギの花

ハコネウツギの蕾 ハンゲショウ ゴマギ オミナエシの葉 ミツマタ

5月13日(土)

 園道へ上がり、炭焼き小屋の方を見ると、赤いアザミの花が見えた。「もうこんな季節になったのかぁ」と季節の移り変わりの速さを感じた。アザミにもいろいろな種類があり、悩まされる。今咲くアザミは大抵がノアザミと言われる。総苞の先端が赤褐色で、僅かに外側へ反っている。ここを触ると粘性があるといわれていたので、触ってみた。その通り粘ついた。

 畦道へ戻り、近くの草木を見ながら進んだ。古民家の手前に来ると、そこにガマズミがある。わりと大きな株をしているが、何時もより花のつきが悪いようだ。今年はガマズミの冬芽、蕾を目にすることが少なかったが、「漸くガマズミも花の季節を迎えるようになったか」と思えるようになった。

 園道へ上がると、藪側に白色の花が見えた。最近よく目にするようになったツルカノコソウである。牧野新日本植物図鑑によると、「花序についた蕾の色と感じが桃色のかのこ絞りに見えるから」とカノコソウの名の由来について説明されている。花は円筒花で、先が5つに裂けている。花冠の部分が膨らんだ円筒状になっている。花が落ちるとここの部分に丸い穴が残される。

 資料:牧野新日本植物図鑑)
 古民家の庭では、未だ催し物が続いているようで、子供たちが竹トンボを飛ばして遊んでいた。小さい子はうまくできないので、親御さんが一緒に手を握って要領を教えていた。そのまま真直ぐ進み、花壇へ来ると、クロバナロウバイが開きかけていた。見たところ中途半端に見えた。これ以上開くのだろうか。色々な資料を見ると、もう少し開くようだ。

 直ぐ奥にニシキギが咲いている。薄い黄緑色の花で、花弁が4枚、雄しべが4本見える。花弁は少し後方へ反る性質があるようだ。花を見ると同時にこの樹を見るときは枝にある翼を確認することにしている。

 直ぐ隣にハコネウツギがあるので、その蕾を見た。中央の蕾を囲むように柱のようなものが5本立っている。これは萼になるのだろうか。花は大きく見事だが、この蕾の状況もなかなか見応えがある。

 沼の縁を見ると、冬場には何もなかったところにハンゲショウの葉が沢山見えて来た。昨年の夏にはここの沼を埋めるように葉が満ち、花が咲いた。未だ、葉には色がついていないが、夏になると、白色の霜降りのような模様がつく。

 沼を出るところに白色の花を玉のように付けた花がある。何の花か分からなかったが、昨年調べると、ゴマキになった。花は大分残っているが、枯れだしたものもあるようだ。丸みを帯びた5枚の花弁が眩しく、雄しべの数が数えづらい。数えてみると5本になるようだ。

 ここの一画にキボウシとオミナエシが咲いてくる。前回も見ているが、キボウシは大きくなってきたが、オミナエシには大きな変化がないようだ。個体のよっては既にオミナエシの葉の形をしているものも見える。

 ミツマタはもう完全に花を終え、葉が長く、大きくなってきた。ミツマタの葉をよく見たことがないが、こんなに細長いものとは思っていなかった。資料によると、「葉身は長さ5〜20cm、幅2〜5cm」あるという。計測して置くべきだったと悔やまれる。


撮影:5月5日
   記  平成29年5月8日(月)
5月14日(日)
オニウシノケグサ オニウシノケグサの花序 畦道 ハルジオン ムラサキツメクサ

トボシガラ トボシガラの花序 スイバの群生 イチゴツナギが群生 イチゴツナギ

5月14日(日)

 再び畦道に出て進んだ。畦道にオニウシノケグサが目に付くようになった。公園の中の僅かな畦道だが、進んで行くと、少しずつ草木が変わってくる。この草は、牧草や法面緑化に利用するために導入されたものが拡大したといわれている。町の中の空き地などによく見られるが、既に、ここにも侵入してきたことが証明されたことになる。日本帰化植物図鑑(長田武正著)によると、「1節より2枝を出し、1枝は長く沢山の小穂を付け、他は短くて3~10個の小穂を付ける」と説明されている。1節より2枝出る点は確認できるが、小穂の数の確認は難しい。小穂の先端は紫色を帯びている。

 更に進むと、オニウシノケグサにハルジオンが混ざってきた。所々にムラサキツメクサも見られる。水路を隔てた向こう側にはスギナが密生している。水路を境に生態系が大きく違っていることが分かる。

 これは何だろうか。イネ科らしいことは分かる。頭を重そうに垂れているところが印象的である。このような姿をしているものにカモジグサがあるが、カモジグサとは違うようだ。資料の中のイネ科で調べると、トボシガラが出て来た。特徴をきちんと調べておくべきだったと反省させられた。トボシガラはイネ科ウシノケグサ属に入る。先程のオニウシノケグサも同様イネ科ウシノケグサ属であった。小穂を見ると、何となく似ている。

 資料: https://matsue-hana.com/yasou/kamei/ykameikensaku-i.html#ine 「松江の植物」」


 水田に面した斜面にスイバの群生が見られる。スイバは雄株と雌株が別株になっている。一般的に赤みを帯びていて、背丈が高いものは雌株になり、白っぽく、背丈の低いのが雄株になる。見えるものは雌株が殆どで、雄株は注意して見ていないと見つからない。今年は、早くから両株を見ることが出来た。」
 ここは日陰で湿っている場所である。見ると、イチゴツナギが群生している。条件的に見ると、ミゾイチゴツナギの環境のようだが、ここに生育しているものはミゾイチゴでなく、イチゴツナギであった。」

撮影:5月5日
   記  平成29年5月8日(月)
5月15日(月)
オニグルミの雄花 オニグルミの雌花 ツボスミレ ハルジオン オヤブジラミ?

オヤブジラミ? ヤブヘビイチゴ ミズキ ミズキ

5月15日(月)」」

 農道を通り、狐久保へ向かった。ここへ入ると、余り人を見かけなくなる。ここの広場にはオニグルミがある。先日、オニグルミの雄花を見たが、雌花を見ることが出来なかった。広場に入ると、オニグルミの雄花がたくさん落ちていた。この光景を見て、「雌花も終わってしまったかも知れない」と不安になった。奥へ入り、雌花を探した。雌花は枝の先に出来るというので、沢山ある枝の先を追いかけた。枝の先は高いところにあるので、よく見えない。低い枝を選び、見続けた。はっきりしたものは何時まで経っても見つからなかった。ここまで来たのだから、諦めたくないと思い、丹念に見続けていると、1本の枝の先に棒のようなものが出ているのが見つかった。「若しかしたら・・・・」と期待しながら望遠写真を撮った。拡大してみると、確かに雌花が写っていた。壺のようなものから赤い2本の紐のようなものが見えた。資料によると、壺のようなものは「苞と小苞、花被片が合着した筒状の花床」であり、2本の棒のようなものは「2つの花柱」である。念願であった雌花が撮影でき、今日の大きな目的が達成された。」

 オニグルミの雌花を見て、感動の余韻が残っている。園道へ戻り、瓜久保休憩所を目指した。途中、藪の土手にはツボスミレが沢山見えた。この花はタチツボスミレより一回り小さく、色が白色っぽい。タチツボスミレは見えなくなってきたが、此方はまだ勢いがあるようだ。  瓜久保へ着くと、先着さんがいて休んでいた。奥を先に見ておこうと坂を上って行った。右側には小さな水田が雛壇になっている。水田の境の畔には色々な草花が犇くように咲いている。その中でもハルジオンは背丈が高く、優勢である。今一番勢いがあるのかもしれない。もう直ぐハルジオンに変わりヒメジョオンが現れてくる。」

 カッパ池の周りには、昨年ヤブジラミがあったので、この花を確認したかった。探そうとなると、見つからないもので、あれほどあったものが姿を消している。1周する頃に1株が見つかった。花の下の部分の膨らみを確認した。確かに膨らみがあり、表面に上へ向かう沢山の毛が見える。花の数が少ないので、これはオヤブジラミになるのかもしれない。

 ヤブジラミは池側にあったが、反対側にヤブヘビイチゴらしいものがある。そろそろヘビイチゴも花期が終わってしまう。ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴと何度も見てきた。ここに来て、漸く葉の違いから区別が出来るようになった気がする。この葉を見ると、横幅より縦の長さの方が長く、先端がとがっている。従って、これはヤブヘビイチゴと思われる。

 休憩所へ戻ってきた。ここで少し休んでいると、山側にミズキらしい花が見えた。近くへ寄れなかったが、葉の形、花のつき方からミズキになるといえる。

撮影:5月5日
   記  平成29年5月5月9日(火)
5月27日(土)
コゴメウツギ コゴメウツギ アカシデの果実 イボタノキ イボタノキの花

ハコネウツギ ハコネウツギの幹 ナツツバキの蕾 リョウブ:突起がある リョウブ:突起がない

5月27日(土)

  卯の花の時期になって来た。遠ざかっていた舞岡公園の卯の花(ウツギ)が咲き始めているのではないかと気になってきた。昨年は見損なってしまったので、今年は何とかみたいと思っていた。天気は曇りの状況だが、見に出かけた。地下鉄駅を出ると、バスが通り過ぎて行った。バス停に止まるかと思ったら、乗降客がいないせいか、そのまま素通りしていってしまった。仕方なく次のバスを待った。

 何時ものように京急ニュータウン側から公園へ入った。ばらのまる橋へ向かう坂道にコゴメウツギがある。もう花は咲き終わっていると思ったら、撮影するには十分な花が咲いていた。花弁は10枚に見えるが、上にある小さいもの5枚が本来の花弁で、下の大きいのが萼になる。雄しべが花弁のヘリに付いているのが珍しい。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1763.html


 ばらのまる橋からアカシデを見た。果実のできている花序を探したが、今年は数が少ないようだ。上の方には沢山あるだろうが、観察できる手ごろな高さには殆ど見つからない。先日は、果実が出来始めているところだったが、今日は苞葉の奥にはっきり見ることが出来た。

 橋を渡ると白色の花が見えて来た。花の感じからすると、期待しているウツギではないようだ。楕円形の葉が対生している。イボタノキになる。イボタノキという名前に興味が惹かれたので調べてみた。この名前の起源に2つの説がある。1つは牧野新日本植物図鑑に記載されている「樹皮の白いイボタロウ虫が寄生することによりイボタノキ」という説、もう1つは植物名前の由来(著中村浩)による「疣を取る効果がある」という説である。後の方は真実性に近く、面白い。「疣の根をかたく結び置き、この蝋の熱したるを一滴滴下すれば疣目ぬけ去る」という栗本瑞見の「千中譜(文化8年)」一文が紹介されている。

 坂を下って行くと、おおばなの丘の方からくる道とぶつかる。この付近にハコネウツギが見える。冬場、この花の残りを見て、吃驚したことがある。春先の蕾も長い柱のようなものに囲まれていた。いま思えば、それは萼になるのだろうか。このハコネウツギは白い花が次第に赤へと変化するという。樹の中を見ると、いくつかの色の花が混ざっているのが分かる。幹は灰白色で、縦方向に凸凹の溝が見られる。

 ナツツバキを見ると、まだ直径が約1㎝の蕾のままだった。蕾を見ると、2枚の苞葉で包まれているように見える。また、2枚の苞葉の表面は柔らかそうな伏毛で覆われている。

 向かい側のリョウブを見て、「花が終わってしまったのでは・・・」と思い、一時吃驚した。どうも蕾のようである。この写真を見ると、蕾の横から長い突起が出ている。「これは何だろうか」と不思議思って、色々な資料にあたってみたが、解答に至らなかった。色々な資料の写真を見ると、このような突起が付いていない。過去の資料を見てみると、この突起の付いているものとついていないものとがある。

撮影:5月24日
  記 平成29年5月25日(木)
5月28日(日)
もみじ休憩所 ウグイスカグラの果実 トウバナ トウバナの花 クサヨシ

クサヨシの小花 クサレダマ

5月28日(日)


 もみじ休憩所は広々としている。親子ずれだろうか、子供が4人いて、仲良く輪を作りお昼を食べ始めようとしていた。小さい子供が母親の後を追っていく光景が見られる。公園内は和やかな風景である。休憩所の周りはカエデの緑が美しい。これが秋になると紅葉して、また別の美しさを作り出す。先程見たリョウブの疑問がまだ頭に残っている。薮の縁にあるウマノミツバなどを見ながら先へ進んで行った。

 水田へ向かう坂を下り始めた。すぐ右側にウグイスカグラがある。もう葉だけになって、どこにあるか分からないのではと思って探すと、赤い果実が残っていた。数は数個になっていた。次回来るときにはすべてなくなっていることだろう。ウグイスカグラの場所をしっかり覚えておかなければならない。

 いつも見るヤマコウバシはもう葉が大きくなり、道を覆い被さるようになってきた。もう少しすると、葉で覆われたトンネルになり、ここは薄暗くなってくる。水田への出口へ来ると、左側にトウバナがある。トウバナは水田へ出た右にもある。先日、ここのトウバナは青紫色で、水田のところのものは薄赤かった。そのため一時は別物ではないかと思った。ところが、今日見ると、何方も同じ薄赤色になっていた。青紫色から薄赤色へと変わってくるようだ。

 水路沿いを見ると、カモガヤに似ているものが見える。カモガヤにしては背丈が高い。そこで調べてみた。葉の付け根は小さな耳になっている。葉舌は5㎜ぐらいで、先は平らのように見受ける。葉は長く23㎝あった。小花を見るとノギがない。カモガヤでなく、クサヨシになるのではと思った。カモガヤにはノギがあり、クサヨシにはノギがない。

 この一帯はクサレダマが占めている。先日より一段と背丈が高くなったようだ。3枚の葉が輪生しているところがクサレダマの目印となる。しかし、よくこんなに密になって犇いているものだと驚く。こういう光景が群生とか、群落というのだろうか

​ 撮影:5月24日   記 平成29年5月25日(木)
撮影:5月24日
  記 平成29年5月25日(木))
5月29日(月)
ママコノシリヌグイ ママコノシリヌグイの花 ユズリハ クロバナロウバイ ハコネウツギ

ノアザミ ウマノミツバ ウマノミツバの花 カキツバタ カキツバタの花

5月29日(月)

 古民家の庭へ入ると、植木鉢の中にピンク色の小さな花が見えた。たった1~2個の花だが、見覚えのある花である。葉は三角形をしており、つる性の茎には鋭い棘がある。ママコノシリヌグイである。昔この花を見た時、「ピンクの花には目が惹かれるが、鋭い棘があるなぁ」と強い印象を受けた。それにしても、この名前はきつい名前である。

 庭の隅のユズリハ見ると、あれほど沢山あった雄花が一掃され、新葉が大きくなっていた。ユズリハは、新葉が出るとき、旧い葉が落ちると言われているので、注意してみた。しかし、旧い葉は下向きへ垂れているが、まだ落ちそうもない。新葉が出て来たからも直ぐには落ちないようだ。

 奥の植込みでは、伸びてきた草を取り除きながら、植木の手入れをしている人がいた。邪魔をしないようにクロバナロウバイの花の開き具合を見た。今日はよく開いている。先日見た姿は未だ開く途中であったことがはっきりした。  先程、もみじ休憩所へ向かう時、ハコネウツギを見てきたが、古民家の奥にもハコネウツギがある。白と赤とが混じり合っている。赤い花には萎れているものが見られるが、白いものは萎れていない。この花の違いを見ると、白色から赤色へ変わっていくことが分かる。  沼の向こう側へ行こうとした時、藪の中に大きなアザミが見えた。「随分大きいなぁ」と思った。早速計測すると、直径が6㎝もあった。総苞が見えないくらいに大きく花が開いている。これもノアザミだろうかと、総苞を触ってみた。すると、粘りついた。やはりこの大きなアザミもノアザミになる

​  藪の中に3出葉が出ている草がある。葉を見ると、先が切られている。虫に食われたのではなさそうだ。辺りを見回すと花が咲いているものも見つかった。これはウマノミツバに違いないと思った。先程、ばらのまるの丘で見た時は花が咲いているものはなかった。今頃咲き出すものかと思った。中央に両性花、周辺に雄花をつけるというが、何度写真を撮っても鮮明に撮れない。肉眼ではほとんど分からない程花が小さい

​  沼に青紫色の花が咲いている。緑と青紫の色調がよく合っている。生育環境から考えると、カキツバタになりそうだ。奥なので、花がよく分からない。望遠で写真を撮ってみると、花弁の中央に白色の模様が見える。やはりカキツバタになるようだ。

撮影:5月24日
  記  平成29年5月26日(金)
5月30日(火)
大きくなってきた オミナエシ リョウブ リョウブの花:突起が見られる オオマツヨイグサ? エゴノキ

エゴノキの花 ハンノキが見える ゴウソとイ ムラサキシキブの蕾 コムラサキ

コムラサキ
5月30日(火)

 沼の外周をまわり、オミナエシのところへ来た。オミナエシは、前回来たときよりずっと大きくなり、葉の形を見ると、オミナエシの特徴が見えて来た。背丈は、近くにあるギボウシを追い越した

​  沼から細い溝があり、水が流れている。ここの土手にあったシャガの花が散って仕舞い、姿が見えなくなってしまった。道沿いにはクサギ、リョウブの樹が続いている。ここのリョウブもまだ蕾のようだ。先程、不思議と思った蕾の近くにある突起の有無を確認した。このリョウブにもやはり突起が付いている。謎がさらに深まってきた。

 炭焼き小屋の近くへ来たとき、道端から少し外れたところに見覚えのある葉が見えた。これは自宅近くでよく見るマツヨイグサである。マツヨイグサにもいろいろあり、まだよく理解していない。これはオオマツヨイグサになるのか、アレチマツヨイグサになるのか、この辺がよく分からない。

 再び田の畔へ戻ってきた。この畦道には、ハンノキが続くのだが、今年は花が咲かなかったし、今は果実も見られない。何か沢山あるハンノキの存在価値が薄くなってしまったようだ。前を見ると、エゴノキが見える。周りに沢山のウツギが咲いており、同じ白色の花なので、一瞬ウツギの花に見えてしまった。しかし、よく見ると、花には長い柄がついており、枝から下がっている。ウツギの花はこのように長い柄がなく、花は下がっていない。

 水車小屋が見えて来た。目の前には大きなハンノキがある。昨年なら、果実や葉を見たのだが、いまは何も見るものがない。また、この辺にネコヤナギがあったのだが、やはり見つからない。水際を見ていると、イグサとゴウソが見えた。これらの花については未だ詳細を見たことがない。

 水車小屋で一休みしながら、キリの樹を見た。水田へ出たところでキリノキを見たが。花は終わりに近づいていたのか、いくつも見ることが出来なかった。また、大きな傷がつき痛ましい姿になっていた。水車小屋にも2本キリの樹があるが、花は上の方にかすかに見えるだけである。山側を見ると、ムラサキシキブが蕾をつけ始めていた。葉腋から出た枝の先に7~8個ぐらいが纏まってついている。

 ムラサキシキブの蕾を見て、コムラサキが水路近くにあるのを思い出した。コムラサキはムラサキシキブより遅れて花が咲くので、蕾は未だだろうと思ったが、確認しに下りて行った。すると、コムラサキにも蕾が見え始めていた。コムラサキの花茎はムラサキシキブとは違い、葉腋から少し離れたところから出てくる。蕾の数はムラサキシキブよりずっと少ない。

撮影:5月24日
  記  平成29年5月26日(金)
5月31日(水)
コバンソウの葯 コバンソウの葯 イチゴツナギ ウツギ ウツギ

ヤブヘビイチゴの果実 ヤマボウシ ヤマボウシ

ムラサキシキブの蕾 ムラサキシキブ/td> コムラサキ
5月31日(水)

 畦道を歩いていると、コバンソウがしばしば見えてくる。小判に似ているからコバンソウの名前がついたという。この姿を見て、直ぐに花だと受け入れ人は少ないと思う。花というよりも果実と見る人はいると思う。この花は小花がたくさん集まって小判のような形の花序をなしている。小花がどうなっているか知りたくなり、資料を調べたところ、解答になる資料は見つからなかった。何時かこの小花の中がどうなっているか知りたいと思っていたので、1つの小花を包んでいる苞を開けてみた。すると、中に葯と思えるものが2個見えた、葯は本当には何個あるのだろうかと、もう1つの小花を開いてみた。すると、やはり葯は2個であった。牧野新日本植物図鑑では何個になっているか、確認してみると、牧野さんはここまで触れていなかった。端に、毛のようなものが見える。コバンソウはイネ科であるので、これは雌しべと考えられる。

 この辺にオニウシノケグサが続いている。これもオニウシノケグサだろうかと思ったが、どことなく違っている。近くで見ると、イチゴツナギであった。大きなイチゴツナギを見ると、見掛けはオニウシノケグサと紛らわしい。そのまま瓜久保休憩場へ入った。真っ直ぐ緩い坂を上り、始めると、左側の溝沿いに、今見て来たばかりのイチゴツナギが群生している。前を見渡すと、この群生は一番上まで続いている。「すごい猛威を振るっているなぁ」とだれでも思うだろう。これまでして生命を繋げる生き方には感動するばかりである。

 水田の畔に白色の花をつけた大きな株がある。一見して、今まで見て来たウツギだと思った。しかし、先程はウツギとエゴノキを見間違えている。望遠写真を撮り、確認した。花は下を向いているが、長い柄がない。やはり、ウツギであった。

 カッパ池の横で前回確認したヤブヘビイチゴを見た。前回同様赤い果実が出来ている。改めて果実の大きさを計測した。直径が2㎝ある。ついでに葉も計測した。葉は長さが4㎝、幅が3㎝であった。牧野新日本植物図鑑でヘビイチゴの葉の大きさを見ると、長さは2~3㎝、幅1.5~2㎝となっている。また、ヤブヘビイチゴは長さが3~4㎝となっている。幅については記載がない。果実は径が2㎝と触れられている。ヘビイチゴに似た仲間は色々あり、紆余屈折してきた。分かってしまうと、「何だ、こんなこと」と思われるが、区別が出来た時は大きな感動があった。

 直ぐ近くでカッパが相撲を取っている。相撲を取っているとは大げさだが、彫刻である。一寸雰囲気が変わって、ここで気分転換が出来る。この彫刻の近くにヤマボウシの樹がある。ここのヤマボウシの開花は他所のヤマボウシよりも遅い。白色の萼がピーンと張っていて、瑞々しさがある。中央にある小花はもちろんまだ蕾の状態である。

撮影:5月24日
  記  平成29年5月26日(金)